今年の2月14日のバレンタインデーは、とても天気の良い日でした。
この日に開催された「恵泉女学園大学・園芸国際シンポジウム」には、スローフード運動の発祥の地であるイタリアから国際有機農業運動連盟・前理事のコンパニオーニ先生、そして「econation 2020 trust 」というニュージーランドを2020年までに環境に配慮した国にしようという取り組みの座長をしておられるホアレ先生(ユニテック・ニュージーランド大学農場長)のお二人の園芸専門家をお招きし、地元はもちろん日本の各地から園芸に関心を持つ多くの皆さん方が、多摩キャンパスに集い活気の有る熱心で、有意義な意見交換と討議が行われました。
シンポジウムの後、学生ラウンジで懇親会がありました。そして、大学の教育農場でとれた様々な野菜、たとえば、ほうれん草のおひたし、白菜、レタス、おいしい大根のスライスなどに、園芸準備室の皆さんが心をこめて作ってくださった手作りのミソニャカウダをつけて味わいました。また、私たちの農場でとれたブルーベリーを使ったジャム(学生たちが生活園芸IIの実習でつくりました)や近隣の福祉施設の皆さんがつくったクッキーなども大変に美味しく頂きました。
これらを通して、まさに「教育」「食育」「地域」「農育」などを実感し、参加者の皆さん方との交流を深め、大変に嬉しい時を過ごしました。関西からは、大学で環境問題を教えておられる恵泉女学園の同窓生もはるばると参加されました。
この日の「園芸国際シンポジウム」は、本学が文部科学省に選定された「特色ある大学教育支援プログラム」の一環として、その担当責任者である澤登早苗先生の「教養教育としての生活園芸」についての報告も含め、コモンズの大江正章先生(岩波新書「地域の力―食・農・まちづくり」など多くの著書を執筆)がコーディネーターをしてくださいました。コメンテーターの愛媛大学・日鷹先生が「日本では農耕地がどんどん無くなっている。そこに暮らしていた生き物、昆虫も消えつつある」とお話されたのも大変に衝撃的でした。
「持続可能な環境と社会を目指して―食農教育・環境教育のあり方を考える」がこのシンポジウムのテーマでしたが、お二人の先生の基調講演の後の質疑応答でとても深く印象に残ったことがありました。
一つは、コンパニオーニ先生が、Bios(いのち)とEtica(倫理)を結び付けられて有機農業を展開し、イタリアの伝統食や有機食材の学校給食や大学食堂への導入をはかっておられるとのコメントをしてくださったことでした。これは、まさに私の専門学問分野である「バイオエシックス」(生命倫理)の考え方の食育への応用であると思いました。
また、ホアレ先生が、「園芸こそは、平和を作り出すための仕事なのです」と語られたことに感銘しました。わたくしたちの平和をめざす女性の大学としての恵泉女学園大学では、「園芸」を大きな教育理念の一つとしてきました。その「園芸」とは平和を作り出すものであるということを、はっきりと教えられたのは本当に大きな喜びでした。
この国際シンポジウムを通して、恵泉女学園大学での園芸教育には、輝かしい希望に満ちた未来があることを教えられました。その大きな夢をこれからも国際的・国内的ネットワークのなかで大きく広げていきたいと願っています。