恵泉女学園大学

MENU
本学について

2011年7月・8月

「シアチャイ(悲しみ)」から「ディーチャイ(喜び)」へ

学長 木村利人

猛暑の中、節電キャンパスでの講義を終えて、いよいよ明日7月27日から夏休みが始まります。
サマー・キャンプや国内や海外での体験学習などを通し、それぞれ大きく成長し、飛躍する機会が得られるよう願っています。
キリスト教センターでは、東日本大震災の被災地となった宮城県に出かけてワークキャンプを行う予定で約40人が参加します。 既にゼミや個人でも被災地に入って色々とボランティアをしてきた学生グループも継続して様々な救援・奉仕活動をすることになっています。
今月の学長便りでは、「タイ・ワークキャンプ報告書」に私が執筆した「はじめに」をそのまま記して、皆さん方とシェアしたいと思います。

今回の「東日本大震災」により、第26回タイ・ワークキャンプが中止になったのはとても「残念」、「悲しい」すなわちタイ語で「シアチャイ」なことでした。
一生懸命にその企画と準備のために努力してきた恵泉の一同にとってはもちろん、パヤップの皆さん方も残念がっておられたとのことでした。
しかし、タイ・ワークに実際に行けなかったにもかかわらず、参加予定者がこのようにタイへの思いをこめて素晴らしい「報告書」を作ったというクリエイティブな発想は大変に「嬉しい」こと、すなわちタイ語で「ディーチャイ」なことです。
この二つのことばの語幹である「チャイ」は日本語で「心」という意味ですので、タイ語の「残念」は、「心がこわれてしまった」、つまり「残念」とか「悲しい」という意味になりますし、同じく「ディーチャイ」は「良い心」「楽しい心」で「嬉しい」という意味になるのです。

実は、3.11. 以降、この「シアチャイ」という言葉は、日本の大震災と津波への心からなる同情の表現としてタイの新聞に毎日大きく登場した言葉となりました。
タイの南部海岸地域では、かつて、2004年のスマトラ沖大震災で大きな津波による被害を経験していただけに、タイの新聞やテレビも被害の大きさとその悲惨さをトップ・ニュースで報道し、多くの人々が日本救援の募金へといち早く動いたのでした。
私が、かつて1967年に南タイで一緒に小規模手作りダム建設(竹製の灌漑用)のワークキャンプを企画・実施した時以降からの親しい友人であるカンタセウイ博士からのお見舞いのメールが、地震発生直後に送られてきました。そして、悲しみを越えて連帯し、力を合わせて日本をサポートし祈りを捧げようということで、3月13日の聖日礼拝から被災者のために献金が捧げられというお知らせもいただき、タイの友人たちの素早い実行力と熱い心(チャイローン)に感動しました。
聖書のメッセージは、「シアチャイ」を「ディーチャイ」に変えようということです。

私たちの人生はキリストによって示された十字架の「シアチャイ」を越えて復活の「ディーチャイ」へと招かれているのです。
タイ・ワーク参加予定だった皆さん方のチャイローン(熱意・情熱)によって作られたこの素晴らしい報告書を読むたびに、3.11の「シアチャイ」が「ディーチャイ」へと主によって導かれることを信じ、感謝のお祈りを捧げたいと思います。

第25回タイ・ワークキャンプ
報告書表紙