今回は私が1984~1985に留学をしていたスコットランドのエディンバラを取り上げます。イギリスと一口に言いますが、実際にスコットランドに行くと日本でいうイギリスという国名は存在しません。あくまでもイングランドとスコットランドとウエールズと北アイルランドがあるだけなのです。そういえばラグビーとかサッカーの世界大会は上述したそれぞれの国が一国家として出場しています。以前は別々の独立国であったからとはいえ、少なくとも現在の国連に登録されている国の名はイギリス一つであるのだから、ずるいと言えばずるいのです。(しかし不思議なことにイギリスが四分割されているのに、それぞれの国は結構強い)けれどもイギリスではそんな国際的常識は通用しません、世界に冠たるイギリスの歴史は覆されるはずもなく、それぞれの国は今でも独立国家なのです、ただし厳密には元国家である一地方にすぎません。
私はエディンバラ大学神学部で学びました、私でしか分からないことだけをここに記します。寒いと言っても日本の冬が少し早く来て少し遅く終わる程度で若者にはたいしたことありませんが、中年過ぎの人には厳しいかもしれません。食事は基本的にベーコンエッグとトーストばかりでしかもしょっぱい、大学食堂のメニューも2種類しかなくしかも塩味のみ。大学の先生方はゆっくり喋っては下さいますが、板書をしてはくれないのでノートを取るのが一苦労、たまに書いてくれてもすごい乱暴で普通の日本人にはとても読めません。
世界文化遺産に指定されているのは、エディンバラ城やロイヤルマイルのある旧市街と近代になって建築された一つ谷を挟んだニュータウンの対比が見事で面白いからでしょう。旧市街の中のお城の下に私の通う神学部があったのですが、旧市街は本当に絵で見る中世ヨーロッパそのものです。今にも木靴をはいたラッパ隊が出てきそうでタイムスリップそのものでした。ニュータウンは新宿と同じでつまりません。ウイスキーもバグパイプもスコットランドが発祥で、それがイングランドに下り、日本ではイギリス文化と思われているのです。ここ文化学科でこのような歴史的探求をしましょう、とても楽しいですよ。
岩村太郎(哲学)