平和文化研究所
恵泉女学園大学平和文化研究所は、大学開学9年目の1997年に、この多摩キャンパスに設置されました。
平和学の父と言われたノルウェーの平和研究者ヨハン・ガルトゥングは、「平和」が立ち向かうべき概念として、「戦争」ではなく、直接的暴力・構造的暴力・文化的暴力の3つの「暴力」を上げました。その中のひとつ、文化的暴力は、直接的暴力・構造的暴力の土台あるいはそれを生みだす環境となる思想、価値観、哲学などを意味します。その点、本研究所の名称である「平和文化」とは、文化的暴力を含む、これら3つの暴力その結果としての不正義に対し、包括的な視野そして深い洞察力を持って立ち向かう広範な活動を指しています。
また、研究所という高等研究機関としては、具体的に以下の活動を行ってきました。「平和文化」の発展に資する研究への助成活動、地域貢献としての公開講座や特別講演会の開催、さらに、国境を超えてさまざまな大学等の平和を目指す研究機関との共同研究、客員研究員の受け入れなどです。
本学では、「国際平和」の実現は理念のひとつであり、本平和文化研究所の他にも、大学院平和文化研究所や花と平和のミュージアムなどが設置されています。こうした機関の「平和」に関する活動を統合的に連結するため、その視点を明確化した「恵泉の平和4原則」も確立されています。①暴力を前提にしない(非暴力の徹底)、②直接的・構造的・文化的暴力への立体的視野もった活動、③社会の最も底辺に置かれた人々の視点の重視、④歴史的背景の把握。これら4つの視点から、本学の「平和研究」は明白なビジョンを持って、広く社会に広がる「暴力」の克服に取り組んでいます。