20世紀の流行は、Tシャツやジーンズをはじめ、アメリカ映画を通して発信されたものが多い。パジャマもそのひとつ。脚を包む服という意味のペルシャ語パエ・ジャマに由来する、ゆったりとした紐結びのズボンは、オリエンタリズムの流行とともに、19世紀末、植民地帰りの人々がヨーロッパ本国に持ち込んだ。しかし、爆発的にパジャマを流行させたのは、アメリカ映画『或る世の出来事』(1934年)でクラーク・ゲーブルが下着を着けずに肌に直接着たセクシーさからといわれている。それまでのつなぎの寝巻き(ユニオンスーツ)を一掃してしまった。自由度の高いパジャマは女の子達の間にもあっという間に広がり、アメリカではパジャマパーティーなるものまで誕生させた。発信されたものに、共振し、コピーすることから、流行は生まれ伝播する。遠くインド・中東から、あなたのところへ来たパジャマの旅に思いをめぐらせ、文化を考える糸口にしよう。