雪国で育った。真冬にカチカチに固まったキャラメルをなめると上あごにいきなり「テッ・コン・キン」とくる。遠い日の記憶にある口内エコーが2006年にアニメの題名になった。『鉄コン筋クリート』。主人公は少年クロとシロ。大人と対等に渡り合い、わい雑な宝町の<こってり>を死守する任侠映画だ。斬(き)ったり、つぶしたりもあって、結構生臭い。死んでもおかしくないのに、そうならない。永遠をふたりは子どもとして生きているからだ。もともと分かりにくいことだらけ。簡単に白黒をつかない常のこと。ふたりもそこからのがれられない。だから、宝町の上空を飛翔する彼らの翼の風にアリアス監督が問う。ソコカラ、ナニガ、ミエル?と。