しなやかに凛として生きる
片道切符で単身渡米
ニューヨークで築いた自分の生き方
写真提供:Miko
ヨガインストラクター
岩佐 絵美さん
― Profile ―
人間社会学部 国際社会学科 2008年度卒
神奈川県立みどり養護学校高等部教員、多摩市立豊ヶ丘学童クラブ指導員を経て、2011年渡米。
2015年、全米ヨガアライアンス協会認定200時間講師養成講座修了。ニューヨークのスタジオ、スポーツジム等において指導。2017年、アメリカ人男性と結婚。2018年12月、ヨガ上級講師資格(RYT500)取得。
「語学力不足を理由に逃げたくない」
その思いでインストラクター資格を取得
単身渡米して7年。ニューヨークでヨガのインストラクター(講師)資格を取得しました。受け持っている生徒さんは受講動機も、ヨガのレベルも様々。ダイエットやけがのリハビリ、精神の安定を求めてなど、多様なニーズといかに向き合うかが常に試され ます。生徒さんが「今まで出来なかったポーズができた!」「たくさん呼吸したら気持ち が楽になった!」と笑顔になったとき、仕事に対する喜びややりがいを感じています。
講師養成講座を受講していた時期は精神的にとても辛かったです。当時は英語に自信がなく、ヨガの哲学的な側面や体の部位などを理解することが難しかったのです。周囲とコミュニケーションを取るのも一苦労。どんどん自信がなくなり、楽しかったはずのヨガが苦痛に。養成講座に行くことが辛くて、泣きながら家を出た日もあったほどです。
それでも資格を取得できたのは、当時交際していた夫の励ましと、最終的には意地だったような気がします。
挫けそうになったときは、住む場所も決まらない状況で日本を出て、帰りの飛行機代 も持たずにニューヨークに来た当時を振り返り、「語学力不足を理由に目標から逃げたくない」となんとか踏ん張りました。
勇気をもって新しい世界に飛びこめたのは、
大学時代の海外研修があったからこそ
大学在学中から一人暮らしをし、卒業後は特別支援学校の教員として1年、学童クラブの指導員として1年、合計2年間、自活しながら働いていました。しかし、心のどこかに「海外で生活したい」という気持ちがいつもありました。私は中学・高校の英語科教員免許を持っていますが、語学にコンプレックスもあったため、とにかく留学しようと決意しました。
海外に目が向いたのは、まず母の生き方の影響が大きいと思います。母は常にアンテナを張っていて関心のあることにはどんどんトライしています。渡米も母が背中を押してくれました。「もし帰りたくなったら、いつでも帰ってきなさい」という言葉で送り出してくれたからこそ、思い切ってチャレンジできたのだと思います。
また、大学での経験も今の私のベースとなっています。1年次には3ヵ月かけて18ヵ国を回る地球一周の船旅「ピースボート」に乗船。その旅の途中で訪問したケニアの児童養護施設で9歳の少女と出会いました。彼女は目にいっぱい涙をためて、お母さんが病気で働けないこと、食べるものもないことを話してくれました。この出会いに大きな衝撃を受けた私は、その後、2年次にタイワークキャンプ、3年次にバングラデシュの農村に出かけ、日本とは異なる環境に身を置きました。
恵泉の素晴らしい教育の一つに、海外研修の豊かさと手厚いサポートがあると思います。これらの研修に参加しなかったら、ニューヨークへ来ることもなく、今頃まったく違う毎日を送っていたかもしれません。
「経済の自立なくして精神の自立なし」
大日向先生の教えが結婚生活の基礎に
社会における女性としてのあり方についても、学生時代の講義で大きく心を動かされました。今でもはっきりと覚えているのは、大日向雅美先生がおっしゃった「経済の自立なくして精神の自立なし」という言葉です。もちろん様々なケースがあるので一概には言えませんが、私が結婚や出産をしてもキャリアアップを重ねていきたいと思うのは、この教えがあったからです。
ニューヨークは物価が高いため、結婚を機に家庭に入る女性はまれで、ほとんどの夫婦が共働きです。そういった環境で20代の半分以上を過ごしたこと、私自身が共働きの両親の元で育ったこともあり、映像制作に携わる夫とは精神面・経済面ともに対等なパートナーでありたいと思っています。
現在受講中の上級講師養成講座は年末に修了予定なので、2019年にはタイヨガマッサージセラピストの認定試験に挑戦します。人体の構造をより深く理解し、適切で無理のないポーズの指導と施術ができるようになったら、世界で働きたいと考えています。