稲本万里子教授が人工知能学会論文賞を受賞しました
2022年06月25日
6月22日、稲本万里子教授(日本美術史)の研究グループの論文(稲本万里子・加藤拓也・小長谷明彦「深層学習による「幻の源氏物語絵巻」の流派推定に関する考察―AI技術による「絵師の流派」概念の再構築―」『人工知能学会論文誌』第36巻第6号)が人工知能学会より2021年度論文賞を授与されました。人工知能学会は、今をときめくAI研究の総本山です。
稲本教授の研究グループが手がけたのは、江戸時代に制作された「幻の源氏物語絵巻」と呼ばれる作品です。最近、夕顔巻の断簡や賢木巻の詞書が発見され、注目を集めていますが、土佐派や狩野派といった絵師の流派が特定できない珍しい作品です。そこで、稲本教授の研究グループがAIによる流派推定の研究をおこなった結果、どの流派に似ているか推定する流派別モデルよりも、どの作品に似ているか推定する作品別モデルのほうが精度が高く、「幻の源氏物語絵巻」は、狩野山楽筆「車争い図屏風」(東京国立博物館蔵)に似ているという結論が出ました。
人工知能学会論文賞選定委員会からは、AIと美術史研究者の共創という重要な課題に取り組み、成果を出したこと、美術史研究における未解決問題に対し、AIがひとつの学説を提示したことが文理融合の優れた実践例として高く評価され、受賞の運びとなりました。
稲本教授の研究グループの論文は、こちらからダウンロードして読むことができます。
深層学習による「幻の源氏物語絵巻」の流派推定に関する考察
稲本教授の研究は、文科省科学研究費の研究成果の一部です。
KAKEN