アイルランド (ダブリンシティ大学)に8ヶ月留学している学生から現地レポートが届きました 派遣留学生の声:アイルランド

2016年01月15日 

今月はクリスマスということもあり、キリスト教に触れる旅へ行ってきました。目的地はダブリンにあるヒューストン駅から鉄道に乗って、西へ45分ほど行った場所に位置するキルデアです。ダブリンで生活をしているとバスを使うことがほとんどなので、鉄道の旅にわくわくしました。

キルデアはアイルランドの三聖人の一人、聖女ブリジッドゆかりの地です。ケルトとキリスト教が融合した町ということを聞いて、心踊らせながら向かいました。修道院を中心として発展した小さな町で、一日徒歩で移動をしました。

第一の目標は「ブリジッドの井戸」、町から20分ほど歩き、人気のない林を進みます。途中、狭く愛らしい小道や美しいせせらぎが聞こえる小川があり、どことなく神聖な空気が流れているような気がしました。貧しいものに施し、癒しの奇跡を起こした聖女ブリジッドですが、ケルト神話にも同じ名前の女神が存在するため、しばしばその伝説が混同されることも多く、今では女神と聖女、両方のブリジッドが愛され信仰されています。ブリジッドは裕福で地位のある家庭に生まれながらも、奉仕の道を選びました。井戸を目の当たりにすると、彼女もこの井戸に自分と同じように顔を覗かせていたのだろうか、そうして慎ましく敬虔な日々を送っていたのだろうか、などと思いました。慈愛に満ちたその生き様から、こちらの人々はブリジッドのことを「ゲールのマリア」と呼んでいます。脇道にそれた人気のないところに井戸があるというので、殺風景な様子ばかりをイメージしていましたが、周りにはリスや小鳥もいて、丁寧に管理がされており、蝋燭やお花も捧げられていて地元の信徒の方々の愛を感じ、癒されました。

競走馬を育てる牧場アイリッシュ・ナショナルスタッドにも足を運びました。施設内にはなんと日本庭園がありました。この庭はロンドンで骨董商を営んでいた日本人庭師、タッサ・イイダ(飯田三郎)と、その息子のミノル、オーナーのウォーカーによって1906年頃から作られたものだそうです。灯籠、井戸、丸窓の庵など、まさに日本といった感じでした。ユニークな石像も随所にあり、面白かったです。競走馬の飼育施設なので馬にも会いました。広大な敷地内には木々が沢山植えられており、バードウォッチングも楽しめます。池の鴨や白鳥はとても人なつこく、終始餌を求めて寄ってこられて大変でした。

他には、町の中心地にある聖ブリジッド大聖堂に行きました。元々は土着信仰の聖地だった場所に西暦470年頃教会が作られ、現在の建物は12世紀に建てられたゴシック建築のものになります。33メートルのラウンドタワーはアイルランド国内二番目の高さだそうです。中も少し見て回りましたが、ほとんど誰もいなくて貸し切り状態でした。美しいステンドグラスに荘厳な祭壇、コツコツと響く自分だけの足音、最高のひとときでした。

のどかな自然があって、素朴にも活気ある愛すべき町キルデアへ、ぜひまた訪れてみたいと思います。

ブリジットの井戸

聖女ブリジット

アイリッシュ・ナショナルスタッド内にある日本庭園と和風建築