梨花女子大/言語教育院  留学紹介② 派遣留学生の声:韓国

2023年03月06日 投稿者: 岡田彩希(日本語日本文化学科2年)

留学期間2022年9月~2023年2月

嬉しかったこと、得た経験、知識、体験

嬉しかったことは外国人の友人が出来たことです。
幼い頃から父が大学生の頃に経験した留学や世界各国を回った時の話をよくしてくれていました。父の海外経験の話はとても興味深く、また様々な人々と交流を持っていた父に憧れを持っていました。そんな父のように、私自身も今回の留学で沢山の人と交流し、友人を作ることができ、純粋に嬉しかったです。

留学を経験したことで得た気づきもありました。日本では当たり前の事が、韓国では当たり前ではない事も多いということです。駅やバス停に時刻表が無いことや、車優先社会の韓国では、なんとなく歩いていた時に轢かれかける事など、日本ではまず起こり得ない出来事に度々遭遇しました。それらの経験から日本の常識だけで行動してしまうことの危険も学びました。これは物理的な意味だけでなく、自分では気づかないうちに精神的に誰かを傷つけてしまう可能性をも意味します。些細なことですがこれに気づけたのは留学のおかげだと感じています。

語学堂は大学の入口近くにあるので、通学しやすかったです。

留学で大変だったこと

最も大変だったのは、常に言語が分からないという不安を持ったまま生活していたことです。私はハングルがなんとか読める程度の状態から留学を始めたので、初級からのスタートでした。日々授業で新しい文法を習う中で、少しずつ街中で目にする看板の内容や人々の会話が分かるようになっていくのですが、まだまだ分からない単語や文法のほうが圧倒的に多く、常に不安を感じていたというのが正直な気持ちです。

寮生活の様子

梨花女子大学には寮がいくつかあります。必ず希望の寮を選べるとは断言できませんが、私の場合、運良く留学前から希望していたタイプの部屋がある寮を選ぶことができました。私が住んでいた階には部屋が9室あり、すべて一人部屋でした。水回りが共用だったので、自炊しにくかったり、階段しかない寮だったので、重い荷物を運ぶ際に少し大変な思いをしたりと不便なこともありました。しかし学校の真横にあったので通学がとても便利だったり、周囲にコンビニやカフェがあったりと住みやすい場所でした。

私が住んでいた寮の外観です。
語学堂のすぐ隣にあるので通学がとても便利でした。
寮はセキュリティがしっかりしているので女性でも安心です。
寮に入るにはカードキーをかざさないと入れず、各階にまたドアがありそこもカードキーをかざさないと入れないので安全性がとても高かったです。

韓国の食生活

韓国料理は赤くて辛いというイメージがあると思いますが、まさにそうで基本的になんでも辛いです。私は辛いものが苦手なので当初は少し苦労しました。ただ半年も暮らしていると少しずつ慣れ、今では辛いと思いつつもなんとか食べられるようになりました。

辛いもの以外にも注意しなければならないこともあります。韓国は街中にカフェが多く点在し、特に大学近辺はコーヒーを持ち歩いている人をよく見かけます。しかしソウル市内を走るバスの中には、軽い衝撃でこぼれてしまう状態の飲み物や、包装されていない食べ物を持ち込むことが出来ません。ソウルに来る機会があれば、これには注意してくださいね。

韓国の街中にはこのような屋台が沢山あります。季節ごとに売っているものが違うのですが、冬は特におでんやたい焼きを売っているところが多いです。

韓国語を韓国で学んだからこそ分かったこと

先生はモニターに映したパワポで授業をしてくださいます。

韓国語と日本語の単語は非常に似ています。同じものもあり、例えば家具はカグですし、鞄はカバンです。
しかし異なる言語なので日本語と異なる点もあります。そのひとつが、「外の人」に両親のことを話す際に、両親に対して敬語を使う風習です。例えば母が来ると言いたいときに日本語では「母が来ます」、もしくは参るなど、身内である「母」にも謙った表現を使います。一方、韓国語では「母がいらっしゃいます」という言い方をして家族であっても「母」に対して敬語表現を使います。これは日本の「身内の場合は謙って、相手を立てる」という考え方と、韓国の「目上は敬うべき(年功序列)」という考え方の違いからくる表現の違いです。価値観の違いからくるこういった表現の違いは、文化的な背景を感じるため、興味深く学ぶことができました。

留学に行って見たもの、思ったこと

大型スーパーでは大抵日本の調味料が売られています。このような品揃えからも韓国での日本人気の高さが感じられます。

私が住んでいた梨大(イデ)は学生街なのでいわゆる「普通の街」でした。しかし観光地として有名な明洞へ訪れた際には、街中に日本語が溢れていたことにとても驚きました。日本では京都など観光地へ行っても英語の表記をたまに見かける程度ではないでしょうか?しかし韓国の観光地は外国人観光客向けにも街が工夫されているのです。最近は日韓両国が観光客へのビザ無し渡航が開始された影響でお互いの国へ観光に行く人が多いようで、少しずつ日韓の交流が再び深まっている現状を嬉しく思っています。留学は終わってしまいましたが、私もいつかまた韓国へ行ける日により成長した姿で行けるようにこれからの大学生活に励みたいと思います。

ホンデという繁華街は近くに多くの大学があるため平日、休日にかかわらず大勢の人がいます。(左右とも)

留学の必要性

私は2年生の春学期まで「日本語教員養成課程」を履修していました。日本語教員とは、日本語が母語でない方に日本語を教える職業のことです。いわゆる日本語学校の先生というと想像がつきやすいのではないでしょうか。
私が留学を決めた理由は韓国語を学びたかったのはもちろん、私自身が留学生の立場になりたかったからです。実際に自分が留学生になると想像よりも大変なことが多く、正直ネガティブな気持ちになる日も少なくありませんでした。しかしそれ以上に様々な価値観を目の当たりにしたことで自分の考えが変わり、物事を異なる視点から見ることもできるようになったと感じています。こうした経験から留学へ行く決断をして良かったと心から思っています。

この半年を振り返って、高校生のみなさんに伝えたいこと

日本にいた頃は人の目を気にしたり、他人頼みで行動したりすることが多く、あまり積極性がありませんでした。しかし韓国に来たことで自分から行動を起こさないとデメリットが自分に返ってくるのだと学びました。
この半年間は、長いようで短く、また大学生活も半分が終わってしまったことにとても驚いています。
大学入学前のみなさんにとって、大学の4年間は長いと感じるかもしれませんが、入学してみるとあっという間に時間は過ぎてしまいます。私は大学時代が人生で最もやりたいことをやりやすい時期だと考えています。ぜひ興味があることや、挑戦してみたいことを沢山経験してみてください。私のように、その経験や体験が学びたいことに繋がったり、人生さえ変える可能性も持っていると思います。