チチェスター大学 帰国直前レポート 派遣留学生の声:イギリス
2023年04月06日 投稿者: 英語コミュニケーション学科 伊藤すみれ
「留学中」大変だったこと
昨年末に風邪をひいた時は大変でした。ちょうど大学も冬休み中だったため、寮にも人がほとんどいない状態。自分のフラットにも誰もおらず、身体のつらさを抱えながら身の回りのことをすべて行わなければならない状態でした。
留学以前の日本での生活では、体調が悪い時も必ず周りには助けてくれる人がいたことを改めて実感し、素直に感謝の念がわいてきました。
帰国直前、コロナに罹患した時もハラハラした瞬間でした。
現地のルールにより、自室から5日間一歩も外出ができない状態に置かれたのですが、帰国のための飛行機に乗れるのかが分からないぎりぎりのライン。
寮や学校関係の部署に連絡を自室から取り、必要な手続きを調べた上で、もし帰れなかった場合の宿泊先などを取る準備を進めました。
結果的には、コロナワクチンをきちんと接種していたこともあり、無事に帰国できましたが、この時は薄氷を踏む思いがしたものです。
一緒にご飯を作るときもあります
寮生活では、生活や衛生観念の違いに戸惑いました。
部屋はそれぞれが別でしたが、キッチンだけは共同で、使い方、料理方法などが国ごとに、また個々人の衛生観念でも違います。
私のフラットでは、洗い物を放置していたり、食べ物を腐らせていたり、自分の食器が勝手に使われていたことも度々ありました。あまりにもひどい時は注意をすることも、私が掃除をすることもありましたが、他のフラットでは勝手に個人の食べ物を食べられることや、お皿を洗わないでそのまま棚にしまう人もいたようです。
嬉しかったこと、得た経験、知識、体験
(ハリーポッターの撮影地)
イギリスで特に印象に残っていることは「ハリーポッター」の撮影地や、息を呑むほどの絶景をたくさん見られたことです。
毎週末は予定でいっぱいにし、イギリスの絶景のひとつで「死ぬまでに一度は訪れるべき」と言われるほどの「セブンシスターズ」に行きました。大学があるチチェスターから、電車で二時間ほどの場所にあり、石灰岩でできた白い崖がとても美しく、ハイキングコースとしても賑わっていました。毎年30~40センチほど波で削られているとのことですから、いつかは見られなくなってしまうかもしれないですね。
ちなみに「セブンシスターズ」の名前の由来は、白い壁が七人の女性が並んでいるように見えることから。この場所は、映画「ハリーポッターと炎のゴブレット」「ファンタスティックビースト」の撮影地としても有名です。
私たちは電車とバスを乗り継いでこの場所に行ったのですが、その日は、久しぶりにイギリスでは珍しいほどの晴天で、抜けるように青い空と、セブンシスターズの白い崖が鮮やかなコントラストをつくっていました。近くでは、放牧された羊がのびのびと草を食んでいる風景もあり、勉強で疲れていた心と身体が一気に癒されたのです。
イングランド南部の海浜リゾート地としても有名なブライトンでは、日本では絶対に味わえないレベルの名物料理「フィッシュアンドチップス」を食べました。想像以上に魚が大きく、そこにモルトビネガーをタップリかけて頂く。これこそイギリスだからこその幸せでしょう。
留学では、本当にたくさんの方々に助けられ、心温まる時間を過ごすことが出来ました。その中でも今回は、これまでのレポートで紹介していない学校の友人について書かせて頂きます。
二児の母親である中国出身の方で、子育てをしながら、学校で英語を学んでいました。
私が上海に住んでいたことを話したことがきっかけで仲良くなり、交流を続けたのです。中国の「旧正月」時には中国のお金が入ったお年玉ももらいました。
留学終了の少し前にはイタリアンレストランでお昼ご飯を一緒に食べ、お互いの近況を話しました。最後にお会計をしようとした時、彼女は「お金は私が払うからいいわよ。あなたたちはまだ学生だし、私の息子と年も変わらないから娘同然よ」と言われたのです。この瞬間、言葉にならないくらい感動し、彼女のような素敵な大人になろうと心に誓ったのです。
これから留学を考えている方へ
授業でわからないことがあれば、先生方にすぐ聞くことが最も大切でしょう。先生方は基本的にわかるまで説明してくれます。面談でもよく言われたことですが、日本人には静かであまり発言をしない傾向があります。他国の留学生が知っている語彙の多さにびっくりしますが、積極的にわからないことを聞いたり、分からないところがないよう努力をしているようにも感じました。
よく言われたのが授業で習った文法をすぐに活用することの大切さです。復習になり、自然と身についていくからです。
もう一つは、学びにおいて「現状」に安心しないこと。気を緩めてしまうと、伸びるものも伸びません。だからこそ、帰国した後も、努力を怠らずに様々なことにチャレンジしてみる。成長できた体験を無駄にしないよう、日々の事柄に工夫していくことが必要なのではないでしょうか。
これから留学をしようと考えている皆さんがより素敵な留学体験ができるように応援したいと思います。
留学の必要性
海に連れっていてもらったとき
留学を通じて、語学力向上は当然ですが、それ以外に新たな文化に触れ、柔軟な思考法を海外での体験から得られるのではないでしょうか。
それだけではありません。日本人以外の人と関わることで新たな発見もできます。
自立する力、それに行動力、主体性、判断力も留学を通して学ぶことが出来、それらは社会に出る時に必ず必要となる力です。
さらに海外の生活では固定概念を払拭出来るはず。
たとえば「日本国内で見えていた日本」と「外から見た日本」の両方を知ることで確実に視野が広がるはずです。私自身、日本の素晴らしさを外国に行ってから気づきました。これこそが留学の醍醐味なのです。
寮生活
寮は、いくつかの棟に分かれており、それぞれの棟にイギリスの場所の名前がつけられています。寮自体は男女混合で、各フロアに個室6部屋があります。個室にはトイレとシャワーが完備。18歳未満の学生だけがいる寮では食事が提供され、18歳以上の寮は自炊です。それぞれのキッチンには大きめの冷蔵庫と冷凍庫が一つずつ、それに小さめの冷蔵庫もひとつあり、それを6人でシェアするのです。
週に一度、寮のスタッフさんがキッチンの清潔度をチェックしに来ます。この時にカードをもらうのですが、緑、黄色、赤と三色あります。緑は合格、黄色は警告、赤は不合格という意味があるのです。かなりきれいにしていたのにも関わらず私のフロアのキッチンは赤のカードを一度もらい、寮スタッフ、フロア全員で反省のミーティングが行われました。こうした経験を通して、協力しながら隅々まできれいに保つことが大事だとよくわかりました。
留学中に二回2時間ほどの停電がありました。また私たちの階は計5回ほど部屋のシャワーのお湯が出なくなったり、ラジエーターが動かなくなったりと機械トラブルが続きました。
3か月に一回くらいの頻度で、それぞれの部屋の掃除チェックが行われます。
脱衣所や洗面台などもチェックされて、シャワールームのガラスが曇っていたりすると警告の紙をもらい、一週間後にまたチェックされるのです。
寮には「コモンルーム(Common room)」と呼ばれる場所があります。コモンとは「公」という意味ですから、寮生が自由に過ごせるリビングに相当する場所で、テレビがあり、ボードゲーム、テレビゲームなどをして楽しむこともできます。サッカーのワールドカップの開催時には、ほとんどの学生がコモンルームに集まり、大盛り上がりでした。
イギリス生活での豆知識/オモシロ情報
イギリスの紅茶は濃いので、多くの方がミルクを入れて飲むようです。
イギリス人のお宅に伺い、お茶を飲むときには必ず「ミルクは?」と聞かれます。
カフェの定番「Cream tea」は、紅茶とスコーンがセットになっているメニューですが、いつでも、どこでも、イギリスの生活からは紅茶を取り除くことができないのです。
交通ルールで新鮮だったのは、道路に車用の信号がないこと。交差点の多くは「ラウンドアバウト」と呼ばれる円状に整備され、交差点に進入した車は同じ方向の円状に廻ることで、事故が回避されるのです。
一方、歩行者用には信号がありますが、渡りきる前に赤になるほど早く切り替わり、慣れるまで渡るのが大変でした。
ハリーポッターの関連グッズは、ハリーポッターショップでなくても街中の文房具屋さんで結構買うことが出来ます。セールの時はお値段が安くなっていたりするのでお勧めです。
ミュージカルは日本よりかなり安く、私が見た『ハリーポッターと呪いの子』は一番安い席で15£(2500円ほど)でした。ロンドンにはたくさんのミュージカルがやっているのでぜひ楽しんでください。チチェスターからロンドンまでは電車で2時間ほどかかり、アプリ(Trainline)で電車チケットを購入すると往復で4000~5000円ほど。ちなみにロンドンに行くときに行き先をLondon underground zone1-6に設定すると、地下鉄も電車も乗り放題になり便利です。ただし帰りの電車は途中で行き先が別れるので注意が必要です。
ハリーポッタースタジオに行った時
イギリスの食生活
基本的な野菜は1ポンド以下で買えます。
個人的にいろいろトライしてみましたがパスタソース、ソーセージなどはあまりおいしくありませんでした。醤油やみりんなどはスーパーでも売っています。アジア系の食品が結構スーパーで買えるのです。
日本米も「Sushi rice」という名前で売っていますが、少し高いようです。
イギリスも日本と同じように物価が上がっているので注意が必要です。外食は安くて10ポンド程度、ロンドンなど都会では20ポンドくらい食事にかかるお店が多いようです。
クッキーやスコーンは基本的にどこのお店で食べてもおいしかったです。北のほうにあるヨークという場所で有名な「ファットラスカル(太ったイタズラ坊や)」というスイーツがイギリスで食べたものの中では一番美味しかったです。スコーンより一回りほど大きく、ドライフルーツやナッツが沢山入ったリッチな焼き菓子です。
歴史観光の中心都市ヨーク
ヨークはスイーツ「ファットラスカル」が有名なだけでなく、イギリス人自身が「とてもきれい!」と口をそろえるくらい綺麗な、城壁で囲まれた歴史と観光の街です。
その中でも特に人気なのが「シャンブルズ通り」。映画ハリーポッターに出てくる「ダイアゴン横町」のモデルになったといわれる通りで、魔法系のお店やハリポタ関連のお店が点在しています。イギリスを訪れたら、是非、足を運んでみてくださいね。
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