■卒業年:2005年3月卒業
■勤務先:保育士
【タイ長期FSが保育士になったきっかけです】
今、私は知的障害児施設で保育士として働いています。「子どもに携わる仕事に将来は就きたい」という思いをずっと抱いていた私にとって、その思いを更に強くしたのは、恵泉時代に参加したタイ長期フィールドスタディでした。
長期フィールド・スタディでは、人身売買問題に取り組むNGOで体験学習をさせて頂きました。そこでは、社会や家庭の状況下、児童労働や人身売買の危険にある子どもたちが保護され、施設で生活しており、私はタイにおいて子どもたちが置かれている現状を目の当たりにしました。
子どもたちと生活する中で、お互いの国や民族の文化、家族の事や将来の夢など色々な話をしましたが、ある時子どもから「日本は、ハイテクノロジーな国だし(発展している)、僕たちみたいな子どもはいないんでしょ?」と聞かれ、言葉を返す事ができなかった事があります。語学力が足りなかった事以上に、自分の国の子どもたちについて学んで来なかった事・・・外国の子どもの事を学びながら矛盾を感じた瞬間でもあり、自分の国について知らない事がたくさんあるんだという何気ない事のようで、とても大切な事に気づかされた瞬間でした。
恵泉卒業後は、タイ長期フィールドスタディでの学びを活かし短大(児童福祉学科)へ進学。保育士資格と幼稚園教諭の免許を取得し、今の職場である知的障害児施設に就職をしました。
現在、小学生から24歳までの方が施設で生活をし、私は支援員として生活のサポートをさせて頂いています。家庭の事情、虐待ケースなど入所する背景は様々ですが、子どもの多くが愛着障害により対人関係を築く事が難しく、学校や生活の場でも困難と直面する事も少なくありません。生活を共にする中で、子どもも辛い気持ちをぶつけてくる事もあり上手く言葉を掛けられない事もあります。自分の力のなさを感じる毎日ですが、子どもたちと過ごす時間は私にとっては、かけがえのないもので、子どもたちらは多くの事を学ばせてもらっています。
長期フィールドスタディーに参加していなかったら、今の仕事にも就いていなかったかもしれないですし、今生活を共にしている子どもたちとも出会う事はなかったかもしれません。
一つの出会いが、また新しい出会いを運んでくれたと同時に、恵泉は自分の可能性を引き出す機会もたくさん与えてくれた大学です。
これからも、小さな気づきを大切に一歩一歩成長していけたらと思います。