■卒業年:2010年3月卒業
■勤務先:筑波大学大学院 人文社会科学研究科 博士前期課程 進学
日本での生活もすでに4年が過ぎました。2010年に文化学科を卒業した後、私は筑波大学大学院人文社会科学研究科(国際公共政策専攻)に進学し、今年の1月に修士論文を書き上げたところです。
恵泉に編入学した当初は、「日本の文化について知りたい」というただ漠然とした思いを胸に日本にやってきた韓国人留学生の一人でした。しかし、その後、恵泉での学びを通じて、日本に限らず、世界が抱える諸問題、文化摩擦や文化的差異の問題、また文化多様性の重要性に目が開かれ、より広い世界観を持つようになりました。そして日本と韓国を、世界の視点から相対的に考えられるようになりました。それだけでなく、自然と親しむことで、私はこの大学で「人と自然を慈しみ、尊重する」という'生き方'を学んだと思います。
それを学問として追求したのが現在大学院で研究している「人類学」という領域です。修士論文では、大学で書き上げた卒業論文を深化させ、日本における「観光まちづくり」というテーマについて地域住民の立場からみた実態、その認識と実践を明らかにしました。研究においては、文献だけではなく、直接地域に身を置くフィールドワークという調査方法を中心とし、研究対象である筑波山門前町で約1年間に渡って現地調査を行いました。地域の人々と心から交流し、彼らが抱えた問題をともに悩み、地域を活性化させるための活動にも主体的に参与しました。その過程で、私が恵泉で学んだ「人と自然を慈しみ尊重する」という姿勢は、一貫して私の研究を支え続けてきました。
今後は、この1月に入籍したことをきっかけに、日本に腰をおろす決意をしました。これまでは留学生として、いずれは韓国に帰るということが前提となっていた気がしますが、これからは「生きる場としての日本」と向き合い、多様な民族、そして自然が共に生きられる真に持続可能な社会環境の構築に少しでも貢献できるよう、恵泉での学びを土台に研究と仕事そして家庭を大切にして生きたいと思っています。