水谷 尚代 さん 日本文化学科

■卒業年:2000年3月卒業
■勤務先:株式会社リクルート

恵泉を卒業し12年経ちましたが一番の思い出は何といっても、長靴をはいて麦わら帽子をかぶり土にまみれた園芸の授業です。
雨あがりの農場は足元がぬかるみ、友達と一緒に泥の中へ足をすべらせるというスリルにあふれていました。

二人一組みで畑を与えられ、季節毎にきゅうりやラデッシュ、ほうれんそうやさつまいもを作るのですが、 無農薬栽培なので化学肥料を使わないかわりに、ミミズやカエルにキャーキャー騒ぎながら牛糞や鶏糞を撒くのです。
そして、収穫の後は先生が畑に大きなお鍋を準備して下さりお味噌汁を作ったり、収穫したてのサツマイモを焼いて食べました。
熱心な先生と助手さんのもと、つめこみ式でもなく、管理もされない自由な授業、それが園芸でした。

今は大学院の学生募集の広告制作の仕事をしております。
仕事柄、多くの大学を訪問させて頂いておりますが、恵泉には都心のビル棟だけの大学にはない広大な畑があり(まるで魔法の絨毯のような!)、 季節ごとに咲き誇る花々があり、そこから季節の移りかわりを感じることができます。
農学を志したわけでもない普通の女子大生が、一番多感な時期に自分で収穫した命の恵を口にすることで、 収穫のときのワクワク感や、芽が出たときの嬉しさを自然環境の中から感じ取ることのできる素直な心も育まれました。

また、教職員の方々は在学中だけでなく、学生一人一人の卒業後の幸せも考えて下さります。
私は大学4年の際に父が他界し、前期の単位が足らず卒業論文の締切も間に合わなかったのですが、 事情を考慮して下さり速やかに追試のお手配や卒業論文の提出期限を延ばして下さりました。
一人一人の事情を考慮して下さるのも、大規模校にはない恵泉の特色です。

ビジネス社会に出ると多くのしきたりがありますが、それらの枠にとらわれない自由で自主的に行動できる学生時代を 恵泉で過ごせて幸せでした。
在校生の皆さん、光陰矢のごとしです。
頭のシャープな時期に欲張ってたっぷりと学んで下さい。恵泉には熱心な先生がたくさんいます。

辛い仕事中にも、畑で転んだことを思い出すと今でも笑いがこみあげて来ます。
こういった恵泉での思い出が、今でも私を癒してくれこれからも私を支えてくれるはずです。
恵泉を卒業し、恵泉の卒業生だと言えることを誇りに思います。