カレン民族の村での2ヶ月間の体験学習を終えて

2014年01月17日  投稿者:飯嶋歩美(国際社会学科3年)

私は「山地民カレン族の結婚観」というテーマでカレン族のヒンラートナイという村で体験学習をさせていただきました。
村人たちと一緒に生活しながら、聞き取り調査や未婚・既婚と対象を絞ったアンケートを行い、カレン族の社会において結婚とは何なのか、村人たちが結婚についてどう考えているのか、学んできました。

その結果、カレン族、そしてヒンラートナイ村の普通の結婚というものは非常に幅が狭く、人々の結婚は儀礼やしきたり、社会構造や価値観によって、コントロール・制限されているということがわかりました。コントロールに従わない人は、何らかのかたちで社会的立場が不利になります。特に女性は、その身体的特性やカレン族の女性だからこそ負う役割によって、権利や機会、尊厳までも男性より制限されていました。
しかし、その一方で昔からの人生観に「たとえ結婚しなくても、精霊が決めた運命なのだ。」という考え方があることから、結婚しないことに対して理解がないというわけではありませんでした。さらに、現在、未婚でもそれなりに家族や社会の輪に参加してのびのびと生活できている老齢男性や老齢女性が存在することもわかりました。このような未婚の男性、女性が存在することで、人生観とはまた違う意味で、若者たちの結婚の幅・選択肢が広がっているのではないかと私は考えます。

体験学習当初は、テーマが結婚観ということで、村人に聞く内容が個人のプライベートな部分になるため、村人の気持ちを乱すことになるのではないか、といろいろ躊躇することも多かったです。しかし、実際に思いきって聞いてみたことで、聞かなければ見えてこないことがたくさんあるということを学びました。そしてこの聞き取り調査で、自分の聞きたいことをカレン語やタイ語で質問して、返ってきたカレン語やタイ語の回答を自分の力で理解できたことがとても嬉しかったし、自信になりました。
また村人と一緒に村で生活する中で、自立というものは自分でお金を稼げるようになることだけではないと学びました。自分の身の回りのことは自分でするということ、自分を自分で管理するということこそ大切なのだとわかりました。
今回、結婚というものを儀式やしきたり、社会構造など色んな側面から見たことで、物事を多面的に見る力がさらに身に付いたように思います。この力をさらに磨いて、残された大学生活でさらに学びを深めていきたいです。

ヒンラートナイ村の未婚のおばあちゃんと

村人に結婚観のインタビュー

お世話になった家族