2015年9月 8日 の記事

タイの教育

2015年09月08日  投稿者:国際社会学科3年 清水なつみ

8月27日(木)の午後の授業は、タイの教育についての講義を受けました。主な内容は、学校外教育( Non-Formal Education)と先住民に対する教育の現状と課題についてです。

講義をしてくださったのは、チェンマイ大学の教育学部で教えていた、カリフォルニア出身のケン先生と、ケン先生の教え子であり、山地民の問題解決に取り組んでいる NGO "IMPECT ;Inter Mountain Peoples Education Culture in Thailand Association"で勤めているラフ族とカチン族のハーフのキン先生です。

まず、ケン先生がフォーマル教育と比較しながらノンフォーマル教育の概念について分かり易く教えてくださいました。 フォーマル教育では学習内容が統一され、すぐに生活で実践できるような学習は少ないが、一方でノンフォーマル教育は教育の対象も学習内容も形態も非常に多様であり、その人の生活に必要なことを学ぶのが特徴であるとのことでした。

次に、キン先生が実際にある村のコミュニティスクールを例に挙げタイの山地民に合う教育について教えてくださいました。元々、学校のある村は少なく教育の機会は不平等でした。そこで、地域の人たちが子どもたちに民族の文化や村の農業などを教えるコミュニティスクールが設立しました。コミュニティスクールが運営されたことで、様々な問題の解消につながっているそうです。さらに、設立当初はNGOなどの外部機関が主体でしたが、最近では村人主体でニーズに合った運営ができているとのことでした。スムーズな運営のため、他の山地民の教育機関と協力し、教育政策提言を目指しているそうです。 今回の講義を受け、ノンフォーマル教育への関心がさらに深まりました。タイは町と村で生活様式が全く違うからこそ、ノンフォーマル教育という形態がここまで発展しているのだと感じました。そして、タイの山地民に向けた教育は試行錯誤しながらも発展し続けていること、スムーズな運営のためには政府との関係が重要であることがわかりました。 そろそろ本格的に体験学習先について考える時期です。今回の講義で学んだことを含め、興味関心の分野についてさらに深め、具体性・主体性・目的をしっかりと持って活動に取り組みたいと思います。

タイの農村社会とローカルウィズダム

2015年09月08日  投稿者:人間社会学部人間環境学科3年 楢崎唯

みんなでつくった銀細工の作品

チェンマイ市内にある北タイの文化や知恵を伝承している学校「ローカルウィズダムスクール」を訪問しました。前半は農村開発の活動に携わっているチャチャワン先生に農村社会の話をうかがいました。講義では農村社会について歴史、自然資源、生産、人間関係の4つの側面から教えていただきました。

講義を通して、タイと日本は全く異なる国のようで、実は共通点が多いことを知りました。例えばタイの精霊信仰では土や水、米など人間にとって必要なものには精霊が宿っていると考えていますが、日本も土地や山などあらゆる神様が信仰されてきたように同じような考えを持っています。

また、都市と農村の関係性、自然に対する価値観、生活様式などの近代化によって人々の考え方や暮らしが変化してきたこともタイと日本の共通点です。日本の都市で暮らす私にとって農村(地方)に抱くイメージや距離感は、タイの人にも通じる部分があるのかもしれないと思いました。

タイでも日本でもマイナスな目でみられがちな農村。しかし、チャチャワン先生は実際には農村は代々受け継がれてきた歴史や地域に根差した知恵、自然資源に富んでいて潜在力があるといいます。常に変化しつつある農村には問題点も多くあるけど、自分たちで考え暮らしをつくろうとする意識も近年高まっているそうです。そんなタイの農村社会を体験学習でより深く学んでいきたいと思いました。

後半には「ローカルウィズダムスクール」による銀細工体験(今回は銀の代わりにアルミを代用)を通して、北タイの文化を学びました。アルミの上に動物のイラストが描かれた紙をのせ、イラスト線にそって釘と金槌をつかって彫ります。職人さんのサポートをしてもらいながら黙々と彫り続け、約30分。それぞれ味のある可愛らしい作品が出来上がりました。体験終了後、職人さんの作品もみせてもらいましたが、当然ながら私たちの作品とは技量の差は歴然で、実際に体験をすることで職人さんの技術の高さに驚きました。歴史のなかで生み出された文化に触れる良い機会となりました。