みんなでつくった銀細工の作品
チェンマイ市内にある北タイの文化や知恵を伝承している学校「ローカルウィズダムスクール」を訪問しました。前半は農村開発の活動に携わっているチャチャワン先生に農村社会の話をうかがいました。講義では農村社会について歴史、自然資源、生産、人間関係の4つの側面から教えていただきました。
講義を通して、タイと日本は全く異なる国のようで、実は共通点が多いことを知りました。例えばタイの精霊信仰では土や水、米など人間にとって必要なものには精霊が宿っていると考えていますが、日本も土地や山などあらゆる神様が信仰されてきたように同じような考えを持っています。
また、都市と農村の関係性、自然に対する価値観、生活様式などの近代化によって人々の考え方や暮らしが変化してきたこともタイと日本の共通点です。日本の都市で暮らす私にとって農村(地方)に抱くイメージや距離感は、タイの人にも通じる部分があるのかもしれないと思いました。
タイでも日本でもマイナスな目でみられがちな農村。しかし、チャチャワン先生は実際には農村は代々受け継がれてきた歴史や地域に根差した知恵、自然資源に富んでいて潜在力があるといいます。常に変化しつつある農村には問題点も多くあるけど、自分たちで考え暮らしをつくろうとする意識も近年高まっているそうです。そんなタイの農村社会を体験学習でより深く学んでいきたいと思いました。
後半には「ローカルウィズダムスクール」による銀細工体験(今回は銀の代わりにアルミを代用)を通して、北タイの文化を学びました。アルミの上に動物のイラストが描かれた紙をのせ、イラスト線にそって釘と金槌をつかって彫ります。職人さんのサポートをしてもらいながら黙々と彫り続け、約30分。それぞれ味のある可愛らしい作品が出来上がりました。体験終了後、職人さんの作品もみせてもらいましたが、当然ながら私たちの作品とは技量の差は歴然で、実際に体験をすることで職人さんの技術の高さに驚きました。歴史のなかで生み出された文化に触れる良い機会となりました。