わたしの体験学習のテーマ「有機農業/共有林からみる持続可能な開発、政府/政策と村人の関係」です。わたしはチェンマイ県の郊外に位置するメーター区の有機農業/共有林の活動から政府と村人の関係、持続可能な社会に焦点をあて研究したいと考えています。
近代化が急速に進んだ現代社会のなかで、いまわたし達は様々な問題に突き当たっています。そのなかでも生きるためには欠かせない食の問題は生産者と消費者という壁を超えて、みんなが向き合うべき事柄だと常日頃感じていました。元々我が家は食にこだわる家庭だったので、そうした意識は自然と身に付いていたこともあります。とはいえ、いままでは消費者視点から向き合うことしかできなかったので、有機農業を基盤とする活動先で、生産者の視点から農や食に対する考え方など学びたいと考えていました。
しかし、日本とタイのそれぞれが抱える問題に直面し自分たちとの繋がりを考えていくうちに、それまでの視点だけでは不足しているように感じてきました。これからは持続可能な社会も大切なキーワードとなるでしょう。自然と人とが共生するための持続可能な社会を築くためには、環境問題と向き合うことは去ることながら、自分たちで自分たちの地域をマネージメントすることが重要な鍵を握っているのではないでしょうか。その中には政府との関わりについても考える必要もあると思います。誰かに任せきりにすることなく、当事者意識をもって、自分たちの暮らしを築くこと。日本にも同じことが問われているような気がします。
そのような思いの中で出会った活動候補先がメーター区でした。近代農法によって多額の借金を抱え苦難の道のりを歩んだメーター区の住民は、NGOの支援を受けながら有機農業や共有林の道へシフトし、現在は自立した地域づくりをおこなうべく様々な活動に取り組んでいます。わたし自身もこれから生きていく上でどのように生活を送り、どのように社会と関わっていけばよいのか、ヒントを得るためにもメーター区の事例から学んでいきたいと考えています。