9月2日、私たちはチェンライ県にあるミラー財団(チェンライ事務局)を訪問しました。ミラー財団とは山岳民族の生活の質の向上と文化・伝統の継承のサポートをしているNGOです。チェンライ事務局は1996年に開設し、当時多くの問題を抱えていた山岳民族を対象とした活動を始め、現在に至っています(公式パンフレットより)。
タイ北部に住む山岳民族は、貧困、人身取引、麻薬、文化・伝統の衰退、無国籍、教育不足、差別や偏見などの多くの問題を抱えています。こうした問題の背景には、タイを含む世界のグローバル化やタイ政府の開発政策に伴う生活環境の変化があること、それによって貨幣を稼ぐ必要性がでてきたことなどが原因であることを学びました。このような問題に対して、チェンライ事務局では貧困家庭の子どもへの教育機会の提供や、村のエコツアーなど10個のプロジェクトを行っています。
お話を伺った中で、「教育は夢につながる」という言葉がとても印象に残りました。夢があれば、日々を生きていく力になる。苦しくて辛い状況にあっても、夢は前へ進む一筋の光になります。教育によって、単に「読み書き計算ができるようになる」のではなく、「教育」が持つ大きな意味を実感しました。そして、無国籍という問題。最近日本でも問題になっていますが、国籍を持つことは「人権、市民権を得ること」と知りました。人として、一市民として今当たり前に享受している権利が、もしなかったら...と思うとすごく怖くなりました。彼らが抱えている問題がいかに深刻であるかを感じた瞬間でした。
山岳民族が抱える問題に、日本も無関係ではありません。問題の原因となっている場合があるのです。日本に帰ってからも、彼らの問題と自分との関わりを考えながら生活をしていきたいと思います。