ユニサーブからソンテウと呼ばれる乗合バスに乗り、チェンマイ市内にある北タイの伝統や文化を継承している学校「ローカルウィスダムスクール」を訪れました。ここでは、前日にタイの伝統舞踊を教えてもらい、爪の踊りを体験させていただきました。
今日は北タイの農村社会について、ローカルウィズダムスクール設立に関わったNGOワーカーであるチャチャワン先生の講義を受けました。まず初めに、私たちが考える農村社会のイメージをいい部分と悪い部分を挙げ、そこから重要な部分をピックアップして講義が始まりました。いい面と悪い面の両方の側面から見ていくことが、農村社会を理解するうえで重要なポイントだとおっしゃっていました。
講義を通して、農村において重要な4つの要素として、信仰、自然の利用法、生計の立て方、村における人間関係があり、それらはすべて相互に関係しあっているということが分かりました。信仰や宗教にもとづいた考えから自然を利用し、それによって生計を立て、それぞれの人間関係ができていくという流れです。
母親側の祖先を崇拝する信仰や精霊信仰など、今の日本ではあまり想像のつかない考えが根強く浸透している北タイ農村社会は、日本とは全く違うと考えてしまいがちですが、日本でも八百万の神というように、何にでも神様が宿っているという考えは未だにあると思います。
しかしこのような農村でも近代化の波により政府による教育の改革が図られ、若者が都市へ働きに行き、高齢化や文化の伝承が難しくなっていきました。先生は、統一した一つのシステムの学校教育ではなく、それぞれの地域に根差した教育の仕方を考えていくことが大事であり、現在の学校教育は都市で働くための教育であるとおっしゃっていました。
このように、タイの農村社会の失われているものを考えていけばいくほど、日本でもこうして失われていった文化があるのではないかと考えさせられました。ほかの国の問題としてとらえるのではなく、自分たちの問題でもあると認識することも大切なのではないかと感じました。