第一期体験学習を終えて―LAPATOコーヒー―

2016年10月31日  投稿者:IS3年 白井 果音

私たちは10月3日~14日、約10日間の日程で第一期の体験学習に行ってきました。今回は第一期ということで、体験学習先の生活に慣れること、周囲の人たちと良い関係を築くことが目標でした。今まで一緒だった仲間たちと別れ、少し寂しい気持ちもありましたが、それぞれがこの10日間でたくさんのことを学び、吸収してきたと思います。

私の体験学習先はチェンマイ県内の『Dripper LAPATO』というカフェで、フェアトレードコーヒーの流通、販売を見てきました。

「LAPATO(レパト)」というのは、チェンマイ県メーワン郡にある切り立った岩山を指します。この岩山は山岳民族の一つ、カレン族の人々の大切な場所であり、メーワン川の水源となっています。

タイでは1900年以降、高級木材であるチーク材などの商業伐採が進み、森林面積がどんどん減っていきました。それに対し、政府は山岳民族が行う焼き畑農法に環境破壊の恐れがあるとして、山岳民族の人々の土地利用を規制し始めました。しかし、彼らは土地を使用する公的な書類などは持っていません。そのため山岳民族の人々は伝統的な焼き畑農法を辞めざるを得なくなり、タイの一般的な農法、つまり森を切り拓いた換金作物の栽培が進められるようになりました。しかし、水源である山や森を壊すことに繋がるこの農法に転換したくないカレン族の人々が目を付けたのが、木の陰でも育つコーヒーでした。

オーガニックで育てたコーヒーを販売し、その売り上げを、森を守る活動に使う、という考えのもと約7年前の2009年に発足したのがLAPATOというグループです。2010年からコーヒーの販売を始め、有機市場などへの出店を重ねて昨年オープンさせたのがこのカフェです。

今回の体験学習では、主にカフェや有機市場への出店のお手伝いでした。お客さんの割合としてはタイ人の方のほうが多かったですが、欧米から中国、韓国、日本人まで幅広い層が来客していました。カフェは半分を民族衣装のお店と分け合っていて、洋服を見るついでに何か飲み物を買っていくお客さんが多かったです。カフェで販売しているものはカレンの森で採れたはちみつや梅のエキス、お店で使ったコーヒーカスで作った石鹸など、基準としてはオーガニックにこだわったものを販売していました。

一期の体験学習を通して、自分が思うフェアトレードというものがあまりにも簡単なものだったということを実感しました。生産者に対等な価格で取引が行われることは確かにフェアトレードと言えますが、ここでは生産者と取引する側が同じグループに存在しているため、一般的なフェアトレードとはかけ離れています。しかし、フェアといえますが、どちらかといえば販売側が認知度を上げることに重点を置き、自分たちの主収入にはなりえていないという側面が見えました。

二期では、一期に引き続きグループの概要、設立背景、メンバーの関係性などをより深めていくことが自分の課題です。加えて、生産村の一つであり、グループの主要人物がいらっしゃる、チェンマイ県メーワン郡メーウィン区にあるノンタオ村にホームステイし、どのようにコーヒーを収穫、加工しているかを見させてもらいます。フェアトレードにこだわらず、まずはグループについてより詳しく知ることが自分にとって重要な課題だと思います。

今回の第一期体験学習を通して、自分の語学力不足や考えの甘さなど、たくさんのことを痛感し、みんなが悩み、壁にぶつかりました。しかし、今しかできない体験、得られることは来ている自分たちにしか感じられないことだと思います。自分のペースで、しっかり目で見て、感じることを大切に残りの日々を過ごしていきたいと思います。

名前の由来となっている切り立った岩山「LAPATO(レパト)」

コーヒーを淹れている様子