NGO訪問 ミラー財団を訪問して
2017年09月18日 投稿者:国際社会学科3年 村上あす美
8月29日、私たちはチェンライ県にあるミラー財団(The Mirror Foundation)を訪問しました。ミラー財団では10以上の山岳民族を対象に山岳民族の生活の向上と文化継承のサポートをしているNGOです。
今回は恵泉の卒業生で、ミラー財団のスタッフとして働いている伊能さくらさんに山岳民族が抱える問題とその背景・要因についてお話を伺いました。
タイ社会の中でマイノリティーな存在である山岳民族は世界のグローバル化に伴う政府の開発政策によって低地への定住化とタイ社会への同化を強制させられました。その結果、生活環境が大きく変化し、多くの問題を抱えることになりました。
その問題の1つに国籍問題が挙げられます。取得する条件を満たしていないことや手続きに必要な書類は町に出ないと手に入らないため、彼らにとっては大きな負担になります。無国籍であれば、教育を受けることができません。そのため自分の身を守る情報にアクセスすることが難しい山岳民族の女性がターゲットとなり人身売買に巻き込まれやすいそうです。教育を受けることの重要性を再確認したとともに、当たり前のように教育を受けられる環境がいかに恵まれているかを思い知らされました。
他にもこれまでの自給自足の生活から近代化によって換金作物を作るようになったため、お米を買うための現金が必要な状況になりました。農業による現金収入では生活が苦しいため、生活の安定を求めて売春を始める者や精神不安から麻薬に手を染める者もいるそうです。
ミラー財団(チェンライ事務所)では、こういった山岳民族の問題を解決するために国籍を取得するためのサポート、文化継承と地域活性化をサポートするエコツアープロジェクトや外国人ボランティアの受け入れなど様々なプロジェクトを実施しています。
伊能さんはこういったプロジェクトは問題を解決するだけではなく、人を育て成長させる場でもあるとおっしゃっていました。山岳民族の問題やミラー財団の活動を聞いて、自分も山岳民族の問題について少しは知識を得られたので、日本にいまだにある先住民族に対する差別や偏見をどうしたらなくなるのか考えていきたいと思います。