体験学習先候補訪問 ミトラトーンの家
2018年09月04日 投稿者:国際社会学科3年 井原美波
9月1日は、児童養護施設であるBAAN MITRATORN(ミトラトーンの家)を訪問しました。この施設は子どもの問題に関心がある私の体験学習先候補の一つです。タイ長期FSでは自分の関心テーマの理解を深めるため、2ヶ月間に渡る現場での体験学習があります。タイ語やタイ事情の講義やホームスティなどの合間に自分たちの関心テーマにあった体験学習先候補を訪問し、話を聞き、自分の目で確かめ最終的に体験学習先を決めていきます。
この施設は、西暦1998年にHIV/AIDSに感染した孤児および親がHIV/AIDSに感染し亡くなってしまった孤児のために設立されました。現在は上記の子どもに加え、虐待を受けたり育児放棄された孤児、親が刑務所にいる子どもなど、さまざまな事情の孤児を保護し養育しています。
施設に保護された子どもたちの中、小中学生17人は施設の近くにあるミトラトーンの家と同じクリスチャンネットワークで運営されている私立小中学校の寄宿舎で生活し、学校が休みになると施設に戻ってきます。現在、施設にいる子どもは生後5ヶ月の乳児1人、3歳児3人と幼稚園児7人です。
現在、施設では受け入れ条件を18歳までの女子としているので、18歳を超えると施設を出て働いたり、結婚する女の子もいます。しかし施設を離れても、困った時にはいつでも相談にのり、常にサポートできるようにフォローアップもしているようです。
またこの施設では養育里親制度を設けています。この制度によって、7歳未満(引き渡し時の年齢)で孤児、または親が育児を放棄する意思が確認できている場合、西洋を中心に様々な国の新しい里親に子どもたちを養育してもらっています。以前は政府を通さずに施設が直接、養育里親の窓口になっていましたが、子どもたちが人身売買の被害を受けないよう、現在はタイ政府を通して相手側の政府間との連携で養育里親を探しているそうです。
今回この施設を訪問して一番印象に残ったことは、施設のシスターの「真実を受け入れる」ことを子どもたち教えているという話でした。さまざまな事情で孤児になり、養護施設で生活している子どもたちに対しての社会からの差別や偏見の目は常にあります。HIV感染している少女に恋人が出来た時、恋人に自分が感染していることを話せていない少女もいたそうです。しかしどうであろうと自分は自分だとまず自分自身が自分を受け入れることが大切です。そうすることでありのままの自分でいられると考えているようです。目を逸らしたくなることや辛いことを受け入れることは決して簡単なことではないし、時間がかかるかもしれませんが、日々の生活の中で少しずつ受け入れていくことができるよう、施設のシスターやスタッフたちが子どもたちと時間を共に過ごし、支えているということがよく分かりました。
今回話を聞くことができたことは私にとって大きな糧となりました。自分の葛藤や苦しみをありのまま受け入れることが、今の私に足りないことだと強く感じたからです。これからしっかり自分と向き合い、納得のいく形で自分の体験学習先を決められたらと思います。
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