カレン族の招魂儀礼に参加して

2019年09月18日  投稿者:国際社会学科 2年 ひかる

こんにちは。タイ長期FSに参加している、甲賀光留です。今回のブログは、カレン族の村、ノンタオ村とヒンラートナイ村での招魂儀礼に参加したことを書こうと思います。

カレン族の人々は、人間の体に5、その他バッタやカエル、水牛、鳥などの生き物と米、合わせて32の精霊がいると信じ、半年に一度、それらの精霊呼ぶ招魂儀礼を行います。この招魂儀礼は、儀式当日の早朝から37の精霊を呼ぶことから始まります。その後、キチュという白い糸を手首に巻いて、呼んだ精霊を自分の体の中に留めておく儀式を行い、儀式のために絞めた鳥を朝食で食べました。日中は、村人それぞれが村の各家に挨拶をしに行きました。

招魂儀礼で使う白い糸、お酒、お供え物

儀式の最後は、2つの村で異なりました。ノンタオ村は大きな村なので、精霊信仰を信じる各家の主人が、自分の家で作ったお酒を宗教リーダーの家に持ち寄り、みんなでそれらのお酒を飲んで儀式をしました。
ヒンラートナイ村では、20世帯ほどの小さな村であったため、各家の主人が宗教リーダーの家に集合し、宗教リーダーの家で皆でお酒を飲む儀式が終わってから、他の家に一軒ずつ皆で行き、儀式のお酒を飲んで回りました。
儀式で使用されるお酒は、各家で収穫したお米で、その家のお母さんが作った蒸留酒です。そのため、アルコール度数と味が各家で異なります。お酒の味は、日本酒のように飲みやすいものもありましたが、消毒液の様な強い刺激があるお酒もありました。
儀式の日は、朝から晩までこのお酒を飲むため、村人の中には、ベロンベロンに酔っ払ってしまう人もいましたが、儀式のお酒なのでこの日だけはどんなに酔っ払っても大丈夫だそうです。
最後に、今回、招魂儀礼に参加して考えたこがあります。それは、儀式の中で村の子どもたちや若者たちがいくつかのグループに分かれて、各家の年長者に挨拶をしに行っていました。私は、その光景を見てカレン族の人々は、小さい時から年長者を敬っているのだなと思いました。そして今の日本の若者とは違った感覚だなと思いました。最近の日本では、迷惑をかける老人として、SNSに老害という蔑称する言葉が出てきたりと、年長者を敬う若者たちが少なくなってきていると感じます。今回、カレン族の若者たちを見て、日本に帰った時、祖母に日頃の感謝を伝え、いろいろな話をしたいなと思いました。

ヒンラートナイ村で村人が宗教リーダーの家に集合してお酒を飲んでいるところ