講義「タイのエスニックグループ」

2022年08月31日  投稿者:IS 3年 M.M

サワッディーカー!今日はカレン民族のプラスート先生からタイのエスニックグループについての講義をしていただきました。先生自身がカレン族でカレン族として生きる権利、そしてまだタイでは認められていない先住民族の権利を主張する活動をしています。先生は、1999年に設立されたNGO Inter Mountain Peoples Education and Culture in Thailand Association (IMPECT)の初代代表 で、現在はPgakenyaw Association for Sustainable Development(PASD)の代表です。今回、私たちが講義を受けたIMPECTの大会議室がある建物は日本のODAの一環である草の根・人間の安全保障無償資金協力で建設されたもので、恵泉の長期タイFSに参加した先輩の中にはIMPECTで体験学習させていただいた方もいるそうです。ここでもまた日本とタイ、そして恵泉女学園大学との繋がりを感じました。

ところで、「皆さんはエスニックグループとは何だと思いますか?」私は授業を受けるまで、エスニックと聞いて、日本でよく使われるエスニック料理、エスニックファッションをイメージしていました。しかし、講義では、エスニックグループとは、エスニシティーによって結ばれた人々の集団、すなわち多民族国家において同じ帰属意識をもつ人々の集団のことであることを学びました。タイの場合は、山地民の中で最も人口の多いカレン族をはじめ、アカ、ヤオ、ティン、ルア、カム、ムラブリ、ラフ、モン、リス族などの北タイで暮らしているエスニックグループがあるそうです。

彼らは民族によって衣装、儀式、伝統、農業、家の形が異なりますが、民族の伝統文化の伝承問題や土地問題、エスニックグループに対する偏見、差別という共通の問題を抱えています。伝統文化が伝承されない原因として、民族の伝統文化を担う子どもたちや若者はタイの学校に行き、タイの教育を受け、村にいて村の伝統文化に触れる時間が少ないため、また伝統文化を伝承する村人の高齢化により伝える人がいなくなってしまっていることが挙げられ、このような共通問題を解決するために、異なるエスニックグループがフォーラムを作り、定期的にイベントを開催しながら、解決策を模索しているそうです。

北タイのエスニックグループの暮らしや抱える問題は、タイ政府の政策によるものが多く、エスニックグループに対する偏見、差別は、昔に比べれば良くなってきているそうですが、依然として、タイ社会のあちこちに見られるそうです。

日本にもアイヌ民族や琉球民族がいます。彼らについて恵泉で学ぶ機会がなければ、タイ社会が北タイのエスニックグループに対して正しい理解がないように、私もきっと彼らに興味を持つことはなく、自分との関係で知ろうとはしなかったと思います。今回の講義を受けて改めて、タイの事柄であるけれど、日本との比較や関連性を考えること、国の政策や国際関係の視点、その他、あらゆることから物事を捉えることの大切さを学びました。

「タイのエスニックグループ」の講義中
プラスート先生と一緒に