タイ・チェンマイからの手紙 「長期フィールドスタディ」体験記

恵泉女学園大学では、日本や外国を理解する際に、机上の知識だけでは学び取ることのできない人間的な理解こそ必要だと考えています。恵泉女学園大学では国外現地授業として、約5ヶ月間タイで実施される長期フィールドスタディが用意されており、今も、多くの学生が現地で学んでいます。そんな様子を学生の皆さんが現地からレポートいたします。

私の体験学習のテーマ⑥

2015年10月25日  投稿者:人間環境学科4年 安藤美季

私の体験学習のテーマは「循環型農業で取れる食物 村人の食の自給」です。村人が循環型の畑を通し食の自立をしているのか、調査しようと考えています。

大学での生活園芸を通して、自分自身が食べるものを種から育て食べることの大切さ、楽しさに気づいてから、農業に関心がわくようになりました。大学4年間で農業のことを勉強する中で、種問題や自然農法に興味がわくようになり、タイ長期ではタイの種問題か自然農法を調査したいと考えていましたが、タイエスニックグループのプラスート先生から、カレン族の循環型農業の話を聞き興味をもつようになりました。

体験学習先のヒンラートナイ村はチェンライ県ウィアンパパオ郡パンポン区の国立公園内にあるカレン族の村です。ヒンラートナイ村ではカレン族の伝統的な循環型焼畑農法で生計を立てています。焼畑農法というとマイナスなイメージがつきまといがちですが、約20年前に学者が入り、循環型焼畑農業が森林保全であることが証明されています。 カレン族の循環型焼畑農法は休閑期間があり1年目2年目3年目で住んでいる動物や植物が異なってきます。私は、循環型の畑を通し、村人が1年目2年目3年目で何を収穫し食べ、食の自立をしているのか、調査したいと思います。村での生活の不安も大きいですが、頑張りたいと思います。

ブタの餌にするバナナの幹

私の体験学習先とテーマ⑤

2015年10月21日  投稿者:K.H (JL4年)

遂に体験学習が開始し、各々の体験学習先へ散り散りになっていきました。寂しさ半分、好奇心半分の気持ちです。そんな私の体験学習先はNGO団体「エンパワー財団」に決定しました。ここは、チェンマイ市街にある性産業に従事する女性の自立・共立のためのNGO団体です。

タイでも、性売買春は違法として取り扱われているため、性産業にまつわるイメージは暗く後ろめたいものであることに、日本と変わりはありません。「エンパワー財団」は、そんなタイ社会のなかで、セックス・ワーカーの女性たちが元気に生きていくために作られたNGOなのです。

「エンパワー財団」は、売買春を根本的に無くすような活動はしていません。日本にはまだまだ珍しい活動目的だと思いますが、その信念は「女性が女性として、自分自身を生きること」「セックス・ワーカーとして生きる選択の肯定」に基づいているようです。これは、わたしにはひとつ衝撃的でした。「性産業従事者のためのNGO」なんて言うと、どうしても「性産業に従事する女性たちを、性産業から切り離す活動」のイメージが付きまといませんか?

日本では、「輝く女性」「女性の活躍」なんて言い方をされるようになって久しいです。わたしたちが女性としてどう生きていくかという選択は、常に迫られています。わたしは「エンパワー財団」で体験学習をすることで、タイの女性が女性として生きていくうえでの苦労や、活動を深く知りたいと思います。その学びは、日本やタイだけでなく、女性の生きていきづらさを解消することに繋げられるのではないかと思い、ここでの体験学習を希望しました。

「エンパワー財団」の具体的な活動内容はなにかといえば、まず、セックス・ワーカーの女の子たちへの「身体を守るための知識」の普及です。避妊具の使用法や、法律面での相談などを受け付けています。そして、今まで教育を受ける機会を逃してきた女性への基礎的教育の普及です。

上記のふたつが大きな活動にはなっていますが、スタッフメンバーの方は「ワーカーの子たちが入ってきやすい環境を作りたい」とよく言います。「家だと思ってほしい」とのことです。家族のように、日々の話を共有し、知識を分かち合うための場にしてほしいという思いのもと、「エンパワー財団」は運営されています。

さて、その「知識を分かち合う」の一端を、私も担わせてもらえるようです。わたしが担当するのは「日本語講座」。すでに何度か開講しましたが、私はこれまで日本語教育なんて一度も齧ったことの無い身です。しっちゃかめっちゃかな英語とタイ語を駆使して、一生懸命日本語を教えています。そして、わたしと同じくらい、生徒の女の子たちも真剣に受講してくれています。

「日本語」をツールに、親交を深めることは可能でしょうか?初体験が続く毎日です。

ABC覚えよう階段のT-S-R段です。

私の体験学習先とテーマ④

2015年10月19日  投稿者:M.Y<IS3年>

私はフェアトレードについて興味があります。そのため体験学習先はタイ北部チェンマイ市内にあるカフェ「Aka Ama Coffee」でお世話になることにしました。アカアマコーヒーは、単なるビジネスではなく、家族や村の人々の生活の質の向上、自立するための現金収入の持続的な支援を考えて設立されました。また、アカアマとは、アカ語で「アカ族のお母さん」という意味を持っています。そんなアカアマで私は、生産者と消費者の関係について知りたいと考えています。しかしながら、まだ具体的な内容はまだ決まってはいないため、一期の体験学習で定めていきたいと思います。

体験先学習をするにあたって、初めは、緊張と不安でいっぱいで正直部屋から出たくないと思っていました。タイ語の語彙力の欠如といい、行って何をすればいいのかという気持ちが交互に襲い掛かっていました。しかし、体験学習初日を終え、言語の壁なんて低いなと感じました。自分から伝えようとすれば3分の2は通じ合うことが出来たからです。アカアマでの時間の過ごし方は、積極的にグラスを洗って拭いたり、飲み物のお店のお客さんに出したり、食器を下げたり、お持ち帰り頂くことの出来るコーヒーの包装のパッキングを手伝ったりしました。初日とはいえ、沢山の体験をすることが出来ました。私も、アカアマに対して何かできることがあれば協力したいと感じ、自分のテーマをしっかりと見つけながら頑張りたいと思います。

仕事の合間に出してくれた抹茶ラテ

私の体験学習先とテーマ ③

2015年10月13日  投稿者:人間環境学科3年 楢崎唯

わたしの体験学習のテーマ「有機農業/共有林からみる持続可能な開発、政府/政策と村人の関係」です。わたしはチェンマイ県の郊外に位置するメーター区の有機農業/共有林の活動から政府と村人の関係、持続可能な社会に焦点をあて研究したいと考えています。

近代化が急速に進んだ現代社会のなかで、いまわたし達は様々な問題に突き当たっています。そのなかでも生きるためには欠かせない食の問題は生産者と消費者という壁を超えて、みんなが向き合うべき事柄だと常日頃感じていました。元々我が家は食にこだわる家庭だったので、そうした意識は自然と身に付いていたこともあります。とはいえ、いままでは消費者視点から向き合うことしかできなかったので、有機農業を基盤とする活動先で、生産者の視点から農や食に対する考え方など学びたいと考えていました。

しかし、日本とタイのそれぞれが抱える問題に直面し自分たちとの繋がりを考えていくうちに、それまでの視点だけでは不足しているように感じてきました。これからは持続可能な社会も大切なキーワードとなるでしょう。自然と人とが共生するための持続可能な社会を築くためには、環境問題と向き合うことは去ることながら、自分たちで自分たちの地域をマネージメントすることが重要な鍵を握っているのではないでしょうか。その中には政府との関わりについても考える必要もあると思います。誰かに任せきりにすることなく、当事者意識をもって、自分たちの暮らしを築くこと。日本にも同じことが問われているような気がします。

そのような思いの中で出会った活動候補先がメーター区でした。近代農法によって多額の借金を抱え苦難の道のりを歩んだメーター区の住民は、NGOの支援を受けながら有機農業や共有林の道へシフトし、現在は自立した地域づくりをおこなうべく様々な活動に取り組んでいます。わたし自身もこれから生きていく上でどのように生活を送り、どのように社会と関わっていけばよいのか、ヒントを得るためにもメーター区の事例から学んでいきたいと考えています。

メーター区の若者が経営するカフェの前で

私の体験学習先とテーマについて②

2015年10月12日  投稿者:国際社会学科3年 清水なつみ

私は、カレン民族の村にある村人が独自で自分たちの子どもたちのために学校を運営している村のコミュニティスクールで体験学習をすることに決めました。「コミュニティスクールが村に与える影響、村にもたらした変化」を体験学習のテーマにして学びます。

私がチェンライ県にあるカレン民族の村、ヒンラートノーク村のコミュニティスクールを体験学習先として選んだ理由は2つあります。1つは、9月中旬のカレン民族の村のホームステイでお世話になった村だからです。ホームステイをするまでは、自分が村で生活する姿が想像つかず、体験学習先に村を選ぶなんてないだろう...と考えていました。ですがホームステイをしたときに、今までの人生では経験したことのないような経験をし、たった2泊3日だったのにすごく楽しくて、体験学習は村でやりたい!と思うようになりました。

そして特に、ヒンラートノーク村の温かくてのんびりした雰囲気に惹かれました。 2つ目は、この村のコミュニティスクールは設立してまだ4年目の学校だからです。先生からはヒンラートノーク村の学校のほかに、もう一つチェンマイ県のカレン民族の村にある設立して約20年ぐらいのコミュニティスクールがあることを聞いていましたが、自分のテーマを考えた時に、設立して4年目だからこそ、公立小学校に通う子どもとコミュニティスクールに通う子どもが混在しているヒンラートノーク村の方に興味を持ちました。 体験学習をする上で、このテーマできちんと学習を進められるのか、タイ語でのコミュニケーション、子どもたちに受け入れてもらえるかなど...不安なことだらけです。ですが、「常に笑顔・前向き・積極的」をモットーに、自分を励ましつつ頑張ります!

村のコミュニティスクールで