2012年2月10日

ジェンダー文化特講

2012年02月10日

ジェンダーは、よく切れるナイフに喩えられています。それは、ジェンダーが学問領域ではなく、言語学や文学、歴史学、美術史学など、さまざまな領域のテーマを新しい視点から切り取ることのできる手法のひとつだからです。

私の専門である美術史学では、今までは、作品の様式、すなわちスタイルから、制作者や制作年代を明らかにしていくという研究方法が用いられてきました。これに対して、新しい美術史学では、今まで美術として扱われていなかった漫画、映画、写真、ポスター、チラシなど、ありとあらゆるヴィジュアルなイメージが研究対象になります。そして、ヴィジュアルなイメージは、それを作らせた人の権力や幻想、欲望を反映したものであると考え、イメージから逆に権力や幻想、欲望を読み解くという方法を採ります。そのときに有効なのが、ジェンダーの手法というわけです。

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『交差する視線―美術とジェンダー2』(ブリュッケ刊)