現在の世界遺産としての名称は「北京と瀋陽の明・清朝の皇宮群」。1987年に北京の故宮が世界遺産に登録されたあと、2004年に瀋陽のものが登録された。この記事では主に、圧倒的に有名な前者を紹介する。
故宮とは、昔の宮殿というほどの意味。一般に知られる北京の故宮とは、明(みん)王朝(1368-1644)と清(しん)王朝(1616-1912)の宮殿であった紫禁城(しきんじょう)を指す。現在の故宮の原型は、15世紀に明の永楽帝(えいらくてい)が現在の北京に遷都して造営したもので、継いで北京を首都とした清王朝もここを皇宮として復興、以後、清王朝が滅亡する1912年まで、政治の中枢であり続けた。内部の重要な見所について、簡単に見てみよう。