恵泉に行くスクールバス乗り場に向かう時、目の前にひときわ大きいパルテノン多摩と呼ばれる建物が目に入ります。通称パル多摩と学生たちは呼んでいますが、正式名称は多摩市立複合文化施設です。これは1987年に建設されたもので、その外観がギリシアのアテネの丘の上に立つ世界文化遺産パルテノン神殿に似ているのでこの名がつきました。本物のパルテノン神殿は紀元前5世紀に建立され、アテネのアクロポリスの上に建っています。
神殿のエンタシス法という柱の中央部が太い構造は、はるばるシルクロードを通って奈良の法隆寺にまで伝わったと言われています。歴史的には神殿であるのに、戦争の時に安全な武器弾薬庫として使われたり、この事実が発覚して爆破されたりと散々な目に遭いました。自動車の好きの方、世界ラリー選手権のアクロポリス・ラリーの出発地点はこの丘の上です。多摩センターで古代ギリシアを想起する、ちょっと御洒落ですね。
岩村太郎(哲学)