カナダ、アルバータ州ウォータートン・レイク国立公園とアメリカ合衆国、モンタナ州、グレイシャー国立公園の国境を跨ぐ世界自然遺産。平和の名とはうらはらに、南、アメリカ側、グレイシャー国立公園で最近まで訴訟が続いていた。その地を自らの大地として繁栄していた、先住民族ブラックフィートの子孫が合衆国政府からの不当な扱いの賠償を求めて戦ったからである。争いはアメリカ合衆国の西進によって狭められた先住民の地をさらに、国立公園の指定(1910年)が追い討ちをかけた20世紀初頭にまでさかのぼる。先住民が押し込められた居留地さえも、国立公園の名のもとに奪われていった歴史がこの遺産の背景にある。