西洋美術を代表する画家、レオナルド・ダ・ヴィンチの代表作は何だろう。おそらく、多くの人はパリのルーヴル美術館に所蔵されている《モナ・リザ》を思い浮かべるだろう。しかしながら世界遺産として登録されている彼の作品は、ミラノの《最後の晩餐》だけである。近年、ダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』などによって知名度は上がったとはいえ、さりとて《モナ・リザ》には未だ及ばない《最後の晩餐》が、世界遺産に登録されている理由はどのようなものだろうか。
「レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院」という登録名が示すように、ユネスコの世界遺産リストに登録されているのは《最後の晩餐》という美術作品だけでなく、作品が描かれた修道院および付属の教会を含むものである。同時に、世界最多の登録数を誇るイタリアの世界遺産のなかでも、唯一特定の画家の名を含むものであり、西洋文化におけるレオナルドの存在の大きさを感じさせる。
レオナルド・ダ・ヴィンチの世界遺産―レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院(イタリア)の続きを読む