1945年3月9日夜半のこと、「突如、銃声が天に轟」くのを聞いた宮中官房長官ファム・カク・ホエは、革命の勃発かと驚き、銃声の静まるのを朝まで待った。紫禁城に出かけてみると、門は閉ざされていて、独立を告げる布告が城門や城壁に貼られていた。ベトナム中部の都市フエでの出来事である。「独立」の現実は、第13代バオダイ帝を操る勢力がフランスから日本へと替わるに過ぎなかった。半年も経たずに日本軍が撤退すると、バオダイ帝は退位し、9月2日にはホーチミンが再び独立宣言をした。その後、事態は急変し、フランスの軍事介入があって、3ヶ月後にはインドシナ戦争が始まる。王宮の破壊も始まる。