366年(1501-1867)にわたり、推定1250万人のアフリカ人を新世界に強制移住した環大西洋奴隷貿易はスペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、フランス、デンマーク、スウェーデン、北アメリカを含むヨーロッパ系植民者が関わり、その力関係、戦争の勝敗で主導権が移り変わった。これほど多くの国々が参与したこの負の世界遺産は、ナチスのホロコーストや広島、長崎の原爆投下のように民族根絶の執念や戦争の憎悪によって生まれたものではない。金銀を始め、砂糖やコーヒー、チョコレート、たばこ、綿花、藍など、おいしいものが食べたい、贅沢品を調達してもうけたいという欲望がその動機であった。遠くの国のもうけ話に投資するグローバルな経済活動、「抑制不能な」市場の力が安価で生産性の高い集団労働を求めた結果が悲惨な人身売買とアフリカ人の大規模な移動と離散を生んだ。
アフリカ
環大西洋奴隷貿易の世界遺産‐ケープ・コースト城塞
2012年11月26日
「迷宮都市」へのフランス保護領統治の影響(モロッコ)
2012年07月02日
フェス(英語ではフェズ)は、広大な旧市街を持つ都市である。総面積280haの中に、現在約10万人が居住している。中心的な通りに沿って歩いていくと、スークと呼ばれる商店街が並んでいる。スークでは、金物細工、革製品、陶器など、通りごとに販売しているものが決まっており、それぞれの商品を作る職人の作業も見られることが多い。皮なめし・染色の作業場は、フェス旧市街地の観光名所のひとつとなっている。
そのように楽しみながら歩いていると、ふと完全な住宅地に紛れ込んでしまい、慌てることもある。地図を見ても目印らしい目印もなく、どこにいるか全くわからない。立ち往生した頃に、地元の子どもたちがガイド役を買って出てくる。彼らについて、小路をすり抜け、家々のひさしをくぐって、またいつの間にか観光地に戻っている。まさに迷宮都市であり、そのような経験に世界中の人々がひきつけられてきた。