白神山地は、青森県と秋田県にまたがり、広さ13万haにおよぶ山地帯です。このうち原生的なブナ林で占められ、豊かな生態系を擁する約1.7万haの区域が、1993年12月、屋久島とともに日本で初めて世界自然遺産として登録されました。
今でこそ白神山地は全国的に有名で、多くのハイカーや観光客が訪ねる場所ですが、かつては無名であまり人びとが寄りつかない場所でした。それが広く知られるようになったのは、1980年代に白神山地を縦断する青秋(せいしゅう)林道への反対運動が盛り上がってからです。
アジア
日本初の自然遺産が守るべきものは何か(白神山地、日本)
2014年01月15日
パルミラの遺跡(シリア)
2013年10月11日
シリアの首都ダマスカスの北東215キロメートルにあるパルミラの遺跡、これは1980年に世界文化遺産に登録され、2013年には危機遺産に登録されています。ローマ様式の建造物が多数残っており、ローマ式円形劇場、浴場、四面門などで有名です。パルミラと書きましたがラテン語風にパルミュラと言う場合もあります。このパルミラは紀元前1世紀から紀元3世紀までの間、主にローマ領として栄えた最古のオアシス都市のひとつであると言えます。パルミラはその位置に恵まれていました、シリアとフェニキア、メソポタミアとペルシアを結ぶ要の位置にあり、シリア砂漠を横断しなければならない隊商隊にとってとても重要な中継地であったのです。ペルシア風、ローマ風、アラビア風というさまざまな文化を吸収し、パルミラは独自に発展しました。その中でも特筆すべきはベル神殿で、約210メートル四方という遺跡中最大の物です。さらに記念門から続く通りは列柱通りで、両側に並んでいたコリント式列柱750本の内150本が今も残っており、非常に重要な文化財として注目されています。
避暑山荘~外交の舞台となった離宮(中華人民共和国)
2013年09月22日
北京から東北方向に200キロ余り、万里の長城を越えた先に、承徳はある。承徳は熱河とも呼ばれた場所で、緯度が高く標高も300メートルを超えるため、気候は冷涼である。ここには清朝時代に建設された避暑山荘があって、今も世界中の人々を迎え入れている。清朝は元来長城の外側に暮らす満州族が立てた王朝であり、承徳はいわばふるさとの地にあった。
伝説から歴史へ ―甲骨文字の発見と殷墟―(中華人民共和国)
2013年08月18日
殷墟(いんきょ)は、現在の中華人民共和国、河南省安陽(あんよう)市にある、紀元前17~11世紀ころに存在した殷(いん。商とも)王朝後期(紀元前14~11世紀ころ)の遺跡である。この殷王朝は、ながらく伝説上の存在と見なされていた。ところが、この殷墟の発掘と、文字史料の発見・解読により、実在が証明された。その経緯はこうである。
時は清(しん)王朝末期の1899年、王懿栄(おういえい)は、マラリアの薬として竜骨という漢方薬を購入した。すると、王の幕客であった劉鶚(りゅうがく)が、竜骨に模様のようなものが刻まれていることに気づく。王と劉は、これを文字だと推測し、竜骨を広く買い集めて研究に没頭、これが殷王朝時代の文字だと判明するのである。そしてこの文字は、亀の甲羅や牛などの骨に刻まれていたことから、甲骨文字(こうこつもじ)と呼ばれるようになった。漢字のご先祖様である。
華城と実学(大韓民国)
2013年07月01日
朝鮮王朝で学問の振興に熱心であった国王は世宗と正祖であるといわれている。第14代国王の世宗は集賢殿に知識人を集め、民衆の文字へのアクセスを容易にするハングルを考案させた。第22代国王の正祖は、王立図書館・奎章閣(けいしょうかく)を創設し、内外の書籍収集に尽力している。