「生涯就業力」育成に向けてFD/SD研修会をいたしました。
2016年04月30日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
4月28日に全教職員が一堂に会して「生涯就業力」育成に向けたFD/SD研修会を開催いたしました(於:河井道記念ラウンジ)。
まず「生涯就業力」とは聞きなれない言葉かと思います。恵泉女学園大学が新たな教育・学修支援の理念として今年度から掲げたものですが、単なる「就職力」ではありません。大学を卒業する時点での就職も勿論大切ですので、キャリアセンターはじめ就職支援には全力を挙げています。しかし、女性の人生はけっして一直線ではありません。結婚・子育て・介護等々で、人生設計を変えることも少なくありません。それでも、どんな時でも目標を見失わず、自分を磨き続け、身近な人、地域や社会のために尽くすことに喜びと使命を憶える女性であって欲しいと願っての女子教育の理念です。新たに掲げたと申しましたが、これは恵泉教育の原点である創立者河井道先生の教育理念に他なりません。真の平和の構築を目指した自立した女性として、「いつでも必要とされる人におなりなさい」と言われた河井先生の理念につながるものです。
具体的には「社会人基礎力」と「努力に裏付けられた自己肯定感」の育成、あるいは学園の宗雪理事長が社会人として信頼される人材としてよくおっしゃっておられる「正直な人」「礼儀正しい人」「仕事が早くて正確な人」「考える人で、改善改良に努める人」となる力の育成でもあります。
こうした力の育成を「生涯就業力を磨く」という標語で学生たちに伝え続けていきたいと願ってのFD/SD研修会でした。これまで大学では教員はFD研修会(Faculty Development (ファカルティ デベロップメント)の略で、教授資質開発などの意味)、職員はSD研修会(Staff Development(スタッフ・ディベロップメント)の略で、事務職や技術職などの大学職員を対象とした、管理運営や教育・研究支援までを含めた資質向上のための組織的な取り組みの意味)と別々に開催してきました。しかし、学生の教育/学修支援は教職員が一体となってこそ初めて真の成果に結びつくと考えて、今年度から合同で研修会を開くことにしました。
授業や業務の関係等で都合がつかなかった教職員を除いて、殆どすべての教職員に加え、中山学園長もご参加くださいました。研修会の形式は、同フロアー・同時間帯に3グループに分かれ、発表者(15名:発表内容のタイトルは下記の通り)がそれぞれ一人約10分の持ち時間で話題提供を行い、その後、参加者は質問し、あるいはコメントペーパーを書いて、次の興味あるセッションに移動するというものでした。各発表時間が10分という短さでしたが、それだけに発表者はポイントを絞り、参加者は集中して聴くことができて、全体の2時間があっという間に感じられました。「予想以上に楽しかった」「参加して良かった」「教員と職員が日頃努力していることが互いによく分かった」「聴くことができなかった他のセッションの話題提供も聴きたい」等々の感想が寄せられました。 ちなみに話題提供の一覧は次の通りです。
「自分らしさの教育」「残るフィードバックとは?レポート・成績」「学生の自主性と自信を育てる地域貢献活動」「クラスの雰囲気つくり」「学生が"一歩踏み出す"ためのお手伝い」「生活園芸Ⅰ~教育農場で起こっていること」"Giving a lot of feedback using dictation"「三歩下がって師の影を踏ま(せ)ず」「言語不安をパフォーマンス力に変えるには」"What the best college teachers do"「アクティブラーニングを通して見る学生のオリジナリティ」「学生と接する際に大切にしていること」「人と人、地域と社会を結ぶコミュニティ菜園の社会実験」。
参加者からは「是非続編を」と求める声がたくさんありました。生涯就業力の育成は、実は私たち教職員にとっても永遠の課題でもあることを、それぞれの話題提供に聴き惚れながら、私自身、痛感したことでした。