在学生から高校生へのメッセージ

2016年09月05日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

この夏休みの間、各地で開かれた大学のオープンキャンパスに足を運んだ高校生も多いことでしょう。恵泉女学園大学にもたくさんの高校生と保護者がキャンパスを訪ねて下さいました。

私たちの大学のオープンキャンパスの特徴の一つは、在学生がキャンパス・アテンダント(CA)として構内の案内をしたり、教職員と一緒に大学生活等の説明に加わったりしていることです。今日はその中で、二人のCAがチャペルで高校生とその保護者を前に話したことについてご紹介したいと思います。

設楽加織さん(人文学部3年生)。タイトルは「強さってなんだろう」

設楽さんの話はこの春休みにキリスト教センター主催のタイ国際ワークキャンプに参加した経験から始まりました。ホームステイ先はタイ・ジャムノーイ村のカレン民族の村。野良犬と豚と鶏と大きな自然、あるのはただそれだけ。便利で、情報が溢れかえっている東京とはまったくの別世界の中で、言葉の壁にぶつかり生活習慣の違いに戸惑いながら、懸命に互いを理解しようとした経験から設楽さんが得たものは、真の強さについての気づきだったということです。

自分の弱さを知る大切さ

以前から"強く、自立した女性になりたい"と願っていた設楽さんは、「弱さを隠すことが強さだと思っていたが、それは勘違いだった」と言います。「本当の強さとは自分の弱さを受け入れ、愛することに他ならない。強さは自分の弱さを受け入れることから始まる。自分の弱さを受け入れ、愛することによって、他者の弱さも受け入れることができる」と静かに語る言葉の中で、ひときわ私の胸に深く刻まれたのは「弱さは他者の存在の必要性を教えてくれました」という言葉でした。多感な若い時代に文化を異にする人々と共に暮らした時間から贈られたものの計り知れない重さを感じました。

求め続けること、探し続けること、考え続けることの大切さ

設楽さんにとって恵泉女学園大学は必ずしも第一志望の大学ではなかったとのことです。「しかし、自分が学びたいことを学べる環境を与えられていることに感謝し、希望だけは捨てませんでした。どんな状況であろうと、ここで学び、何かを得るのだと思っていた」。その一つがタイ国際ワークキャンプだったとのことです。他にもCAの活動や福島でのキッズキャンプへの参加等々、意欲的に送っている学生生活の日々を語り、「今、私は恵泉生であることに誇りを持っています」という言葉でメッセージを結んでいました。

大窪真理紗さん(人文学部3年生)。タイトルは「My Story~恵泉までの道のり~」

大窪さんは、国語と日本語の2つの教員免許を取れることと女子大であることの2点を基準に大学選びをし、いくつかのオープンキャンパスに参加する中で恵泉のキャンパスを訪れ、迷うことなく第一志望としたということでした。

大窪さんが日本語教員を目指した背景には、幼少期の経験と高校での部活の経験がありました。
幼稚園から小学校低学年までお父様の仕事の関係でロシアで過ごし、言葉の通じない辛さと共に片言でも通じたときの喜びを味わったとのことでした。言葉を通して相手と心が通じ、理解しあえる素晴らしさ、自分の世界が広がる喜びは、とりわけ幼い時代に経験したことであっただけにどれほど大きなインパクトとなって心に響いたことでしょう。

もうひとつは、高校時代にバスケットボール部のマネージャーをしていた時にアフリカのセネガルからの留学生が入部してきたとのことです。公用語がフランス語のセネガルから来た留学生が、少しずつ日本語を覚え、皆とコミュニケーションをとれるようになったこと、そして、そこに少しでも役に立てた喜びもまた大きなものがあったようです。

こうした経験を基に日本語教師を目指している大窪さんですが、恵泉に入学して、さらに学ぶ楽しさ、喜びを深めていると言います。
「恵泉ではやる気次第で、いくらでも成長するチャンスがたくさんあり、それをサポ ートしてくれる環境が整っています。私は高校時代、自分がこんなに真面目になって勉強し、CAとして活動することなど夢にも思っていませんでした。今とても充実した大学生活を送っています」。

この点は前述の設楽さんも同じでした。
「恵泉には自分と向き合う時間や自分を拡げ他者を知るチャンスがたくさんある。個性豊かな先生方や学生、海外プログラム、課外活動、たくさんのチャンスが転がっている。だから、高校生のみなさんも、自分の足で歩き、自分の目で見て、自分の心で感じ、自分にあった大学を見つけてほしい」。

オープンキャンパスでは学長の私も挨拶をいたしますが、私の何倍も深く胸に響くメッセージを在学生が高校生に送ってくれることを毎回、頼もしく、嬉しく聴いております。