恵泉での4年間は、園芸を通して様々な経験をすることができました。
先月提出した卒論では恵泉女学園のボーダー(境栽花壇)の変遷を調査しました。その結果、1943年の高等部園芸科にボーダーの原型が造られていたことが分かりました。これは国内でもかなり早い時期だと考えられます。
また、12種の日本の自生植物を実生栽培し、花壇材料としての導入の検討を行いました。卒業後は箱根にある植物園で植物の管理をする仕事をします。草花検定など恵泉で学んだことを生かして、植物の美しさを自分の言葉で伝えていけるようになりたいです。
恵泉での学びを語る学生たち~教務関連事項説明会にて
2017年01月30日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
大学では年度末に、次年度授業をご担当いただく非常勤の先生方をお招きして、来年度準備のための教務事務連絡だけでなく、日頃のお働きに感謝するとともに恵泉教育について理解を深めていただく懇談会(教務関連事項説明会)を開催しています。
今年は1月24日に持たれました。
今回は主に2016年度の新たな取り組みとして、自校教育としての「卒業演習」・英語のスーパーチャレンジ教育としてのGCP(Global Challenge Program)・2013年度に新設した「社会園芸学科」を取り上げました。
GCPについてダシルバ先生の説明の後、2016年度英語スピーチコンテストで優勝した高橋朱憂さん(1年生)がスピーチをするなど、いずれも学生の声やプレゼンを中心としたことが今回の特色でした。そこからいくつかご紹介いたします。
「卒業演習」から
「卒業演習」とは恵泉での学びの最終学年にあたって、全4年生を対象に学園の歴史を振り返り、恵泉スピリットとは何かを共に考える、いわば自校教育です。
学生たちは創立者河井道先生にゆかりの方の話を聴いたり、恵泉蓼科ガーデンを訪れたりしました。
蓼科ガーデンで散策と自然との対話を通して自分を見つめる黙想の時を持った学生たちがレポートに記した声です。
- 蓼科ガーデンはたくさんの植物とガーデンの仲間たちが、おだやかに、自然に咲き急ぐことなく、自由に自らを表現している。就活が始まり、一生懸命に自らの色を出そうと急いで、自らの本当の色を出せずにいた自分に気づいた。
- 蓼科ガーデンの花たちは、どれも自分を主張しすぎない程度に、それでも主張していて、どれものびのびと、完璧に咲いていなくても、とても堂々と咲いているように見えた。この世に存在するもの全てに意味があることを感じた。
この卒業演習に携わったお一人の関本恵美子先生は「学生たちは自身の心の声を自分の言葉で表現してくれました。これからも心を育む教育にいそしみたい」とおっしゃっていました。
「社会園芸学科」Ⅰ期生の声
「社会園芸学科」Ⅰ期生から、3人が4年間の学びを振り返りつつ、それぞれの卒業後の進路について語ってくれました。
- 「保育専門学校への進学」を決めた山下端姫さん。園芸と心理を学べることに惹かれて入学。NPO法人運営の子育てひろば「あい・ぽーと」で子育て・家族支援者養成講座での学びと実践も経験。恵泉での幅広い学びが乳幼児教育保育の大切さへの気づきとなり、保育士資格取得を目指すということです。
- 都内の「生活クラブ生協」に就職が決まった中田あゆみさん。生活園芸の授業を通して、有機栽培の意義とともに、友人と力を合わせて作業をする大切さを学び、さらに4年生の時にティーチングアシスタントを務めた経験を語ってくれました。「生活クラブ生協」では生活者と消費者の距離を埋めるために、まず組合員のニーズに寄り添う仕事から始めたいと抱負を語っていました。
- 「箱根湿性花園」で働くことになった中澤藍さん。2年生の社会園芸演習で駅前花壇づくりを経験。植物を種から育て、仲間と花壇のデザインをした経験の楽しさと地域貢献の喜びを味わい、その後、多摩市の緑のシンポジウムでも発表するなど地域といっそう深くつながりを持ったとのことです。
3人の発表の後に、澤登早苗先生から「社会園芸学科は、園芸と心理の学びを通して、人と人との関係を創り直し、地域を豊かにすることを目指して2013年に新設されました。4年間の学びを通して、今日、発表してくれたような学生が育ってくれたことを嬉しく思います」との言葉とともに、中澤さんが恵泉草花検定*2級に合格したことが報告されました。
最後に、草花検定に合格した中澤さんのメッセージと検定についての説明を以下に記します。
*恵泉草花検定は、年2回、春季と夏秋季の検定試験が行われ、両方に合格するとその級が認定されます。2級は、各季80種の候補植物の中から、40種の写真が提示され、その和名、学名、科名、英名を答えます。80パーセント以上の正解で合格です。例えばフウリンソウ(和名)なら、キキョウ科(科名)、Canterbury bells(英名)、Campanula medium(学名)と覚えます。2級を認定された人は、春と夏秋季合わせて160種の植物の名前を知っているということになるのです。中澤さんはこの難関に挑戦し、みごと2級認定者の第一号となりました。彼女はさらに上の1級取得を目指していますが、出題される植物の種類は2季合わせて240種にのぼります。
園芸教育室 菊地牧恵さん