在学生のための"一技(いちわざ)"特別講座

2017年10月16日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

先々週(10/2)は卒業生・社会人となった女性を対象とした"生涯就業力"講座のご案内をいたしました。今週と来週は、9月中旬に実施した在学生(1年生)を対象とした"生涯就業力"の課外版"一技特別講座"についてのご報告です。

恵泉ならではの「社会人基礎力」

"一技特別講座"とは、生涯就業力の基礎となる「社会人基礎力」を磨くための講座です。

社会人基礎力とは、ご存じの方も多いかと思いますが、もともとは経済産業省が2006年から提唱しているものです。職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な力として、具体的には「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から成るものです。

恵泉女学園大学の「社会人基礎力」の発想もこれとベクトルは同じくするものですが、内容的には次のとおり一味異なっています。

  • 正直な人となること
  • 礼儀正しい人となること
  • 仕事が速くて正確な人となること
  • 考える人で、改善改良に努める人となること

これは、富士写真フィルム(現富士フィルム)社長・会長として活躍した本学園の宗雪雅幸理事長が、長年の企業人としての経験を基に、社会人として信頼される人となるための大切な要素として、常々学生に伝えているものです。

社会で活躍するために、大学で学ぶ基礎学力や専門的知識はもちろん大切です。
でも、それを活かすには、何よりも人として信頼される力がなくてはなりません。
そのための4要素を在学中にしっかり身につけ、誇りをもって社会に巣立ってほしいという願いをこめて、中山洋司学園長の発案とネーミングで開始したのが「一技特別講座」です。

一言で言えば、社会で活躍する女性として信頼される人となるための力を磨く講座です。

具体的には、今年度入学した1年生を対象に、まず次の3コースからスタートしました。

Ⅰ おもてなしの作法-ビジネスマナーの基礎を学ぶ

担当講師 (インプレシオン・元日本航空キャビンアテンダント:田村幸代)

Ⅱ 社会人としての伝える力

  • きちんとした話し方 担当講師
    (学長 大日向雅美)
  • きちんとした書き方 担当講師
    (学長室長 野間田せつ子)
  • 美とセンスを磨いた伝え方担当講師
    (ハリウッドビューティ専門学校・大学院大学 講師 玉利かおる)

Ⅲ 発想の仕方とまとめる技法

担当講師 (学園長 中山洋司)

この3コースのうち、今週はⅠとⅡコースについてのご報告です。

Ⅰ おもてなしの作法

社会の一員としての心構えやビジネスマナーを理解し、自信をもって活動できるように、そして、恵泉女学園大学の学生としてのびやかに振る舞うことができるようにという観点から、具体的にはマナーの5原則(①挨拶②笑顔③態度④身だしなみ⑤言葉遣い)について、実技を取り入れてご指導いただきました。

受講生はまだ1年生です。ぎこちなさもありましたが、仲間どうしで真剣に話し合ったり、実技に挑戦したりしていました。

Ⅱ 社会人としての伝える力

きちんとした話し方

話すことは、話しすぎないこと" "相手の良いところを見つけること"など、2,3人でのグループワークを取り入れながら、進めていきました。
話し手・聴き手の役割を入れ替えてみたり、同じ内容でも「だれに話すのか」相手の設定を変えてみたり、「話して伝える」ことを実際にやってみてもらったのです。
最終的に、きちんと話すことは、必ずしも技術を磨くことをいうのではなく、むしろ次の3点が大切であることを確認し合いました。

  1. 自分の思いを正確に伝えようとする気持ち
  2. 相手の思いをしっかり、丁寧に聴こうとすること
  3. そのための基礎となる知を日々、紡いでいく努力

きちんとした書き方

この講座も、読み手を想定した言葉づかいで文を書きかえたり、長い文章に読点と句点を打ってみたり、縦書きと横書きの違いを通して日本語の視覚的な特徴を確認したりするワークが取り入れられました。
その中の一例は、節電のためになるべくエレベーター使用をさけてもらうためのポスター作成に挑戦したことです。

下の画像は、どちらも実際に学内に張られていたものだそうですが、これらは掲示として読み手の心に訴えるものではないという例として挙げられました。

印象的だったのは、これらの掲示のメッセージは"美しくない"と講師が言われたことです。きちんと書くということは、こちらの思いが相手にしっかり伝わること。それには視覚的な美しさも必要であるということに考えさせられました。
講座では、左の掲示の改善案を考えてもらう、という宿題が出されました。
良いものについては実際に使用される予定ということですので、万が一エレベーターに乗った際には見てみてください。

美とセンスを磨いた伝え方

前2つの講座で伝えた内容を修得した学生に、今度は形から入ることを伝えたのが、この講座だったと言ってよいでしょう。
講師の先生が作成してくださったパワーポイントの表紙をご覧ください。
この2枚に講義内容の多くが凝縮されているようです。
具体的には、第一印象の大切さとして、みだしなみ・表情とあいさつ・姿勢と動作・発声・カラーや香り、スタイリングなどのオーラ等について、実践的なお話をいただきました。

学園長が担当したⅢ 発想の仕方とまとめる技法については、作業が継続中とのことですので、次回のご報告といたします。

一技は今回だけで身につくものでは到底ありません。今後も継続するスキルアップ講座の受講を続け、さらにこれからの大学生活の中で学ぶことを集大成してことが大切です。そのためのポイントシールブックも作成し、ポートフォリオに加えていくこととしています。