年頭のご挨拶
2018年01月01日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
あけまして おめでとうございます。
新年、いかがお迎えでいらっしゃいますか。
昨年の「今年の漢字」は"北"でした。
北朝鮮のミサイル発射や核実験の強行、九州北部豪雨、北海道産のじゃがいもの不作など、次々と厳しいニュースに見舞われ、そのいずれもが"北"にまつわることが多かったからということでした。
2018年はどうか平和で心穏やかな一年であってほしいと思います。
平和を願う心は、河井道先生が1929年に恵泉女学園を創立された理念にほかなりません。世界恐慌の最中にあって、忍び寄る戦争の足音を聞きながら、この地球上に真に平和な社会を築く必要性を痛感され、そのために世界に心を開いた自立した女性を育成することを目指されたのです。河井先生のこの女子教育の理念は、今、改めてその意義が問われる時を迎えていると思います。
平和な社会を築くために、私たちに求められることは何でしょうか?
昨年12月末の礼拝の感話で、漆畑智靖先生(国際政治学専攻)が"相手の立場になって考える"をテーマに語られました。自分の主義主張にとらわれないこと、そのためにあえて相手の視線を持ち、相手の立場に立って自国のあり方を振り返る必要性についての国際政治学の立場からのお話でした。
相手の立場になって思考することは、即効性や華やかなパフォーマンスとは無縁のように見えますが、実は一番確かな相互理解につながるはずです。
このことは国際政治の舞台だけでなく、身近な家族や友人知人とのかかわりのすべてにも通じる人間社会・人間関係の基本と言えましょう。
信念をもって、地味なことを地道に積み重ねていくことにこそ、人間の真の精神知が求められる・・・・。一見、易しいことのように見えて、それをたゆまず続ける意志の強さが欠かせないことを改めて考えさせられました。
2018年が平和に充たされる年となることを願い、私たち一人ひとりが、そこに尽くせる人となることを心から願って、讃美歌499「平和の道具と」をご一緒に賛美したいと思います。
- 平和の道具と ならせてください。憎しみに愛を、戦いに和解を、
- 分裂に一致、疑いに信仰、誤りに真理、絶望に希望、
- 暗闇に光、涙に喜び もたらす器とならせてください。
- なぐさめ求めず なぐさめることを 理解されるより 理解することを
- 愛されるよりも 愛する心を 敵をゆるして ゆるされることを
- 自分のいのちを 献げて死ぬなら 永遠のいのちに 生きるものとなる
2018年が、皆様にとってどうか良い一年となりますように、お祈りいたします。
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