園芸療法士試験3名合格です!
2019年02月25日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
春休みに入って、「フィリピン英語研修」「カンボジア・タイ短期FS」「韓国語語学研修」等への出発報告や無事帰国報告が、教務課から刻々と届くここ数日です。学生たちがキャンパス外にも積極的に学びを広げていっていることを頼もしく思います。
そうした中、もう一つの大変嬉しい報告が届きました。
澤田みどり先生(社会園芸学科)から4年生の3名が園芸療法士の試験に合格したという一報が入りました。
園芸療法士については大学のHP等でも紹介していますが、改めて澤田先生からの説明と共に、この度の快挙を成し遂げた3人に喜びの声を届けてもらいました。
園芸療法士
澤田みどり先生
園芸療法とは、植物や園芸作業を障害や病のある方のリハビリテーションに活用する方法です。園芸は植物が主体ですが、園芸療法は人が主体の活動です。植物のある環境は人に安心感や安らぎを与え、植物の成長は将来への期待や希望をもたらし、手入れや水やりは屋外に出て五感を使う機会を増やし、適度な園芸作業は身体機能の維持向上、世話をする立場への転換、役割取得、生活リズム改善をもたらします。収穫が達成感、満足感、自己有用感に繋がり、意欲の改善、生きがいを引き出します。本学の園芸療法の授業は、実習中心に障害や病を知り、共感し、寄り添いながら植物や園芸作業の効果を引き出す支援について学びます。学生たちは自らプログラムを考え、ご本人が播ける種を選び、使いやすい道具を改良し、安全に作業に取り組める環境を整え、主体的に植物に関わるための説明の工夫を計画、準備します。協力して実践し、よりよい支援のために記録、評価、改善というPDCAを繰り返します。これらの学びが教育理念にある「自己を愛するように他者を尊重し、世界を知り、偏見や差別に立ち向かう力を育み、自然を慈しみ、いのちを尊ぶ人を育てる」ことに繋がっています。
さらに、日本園芸療法学会の認定教育講座として認められており、学会指定授業(園芸療法、園芸、心理、社会福祉、リハビリテーション等16科目200時間以上)を履修し、500時間以上の実習を経て学会認定園芸療法士受験資格を得られます。全学科対象ですが、去る2月10日の試験にて社会園芸学科4年生3名が合格致しました。日々の学業、アルバイト、卒業論文、就職活動の中、多くの方々のご支援ご指導の下、地道に実習を続けてよくがんばりました。資格を取得したのみならず、人として大きく成長したことは指導教員として嬉しい限りです。本学ならではの教育の一つである園芸療法を通して、植物を介して人と関わりたいという優しい思いを形にするように学生を支援していきたいと思っています
田中美希さん(社会園芸学科4年)
私は植物が好きで自宅で栽培を楽しんでいましたが、自分が楽しむだけでなく他の人も一緒に楽しめたらいいのにと思っていました。そんな中、園芸療法の授業で植物の成長や収穫を通した感情や体験を自分と参加者で分かち合うことができると知り、自分がこういう場を作れたら素敵だと考え園芸療法士の資格取得に挑戦することに決めました。大学の課題やアルバイトが重なり忙しい時は実習のプログラム内容を考えるのにも疲れてしまい、惰性で続けているだけなのではないかと悩むこともありました。今、振り返るとそんな時でも実習をほとんど休まず参加できたのは参加者から期待と感謝の気持ちが伝わってきて私が逆に癒されていたという面があったからだと実感しています。
この度、認定園芸療法士の資格を取った私は4月から就職先の病院で園芸療法士として勤務します。資格取得がゴールではなく、これからも様々なことを知ろうと努力し、積極的に進歩していきたいです。
関口瑛梨奈さん(社会園芸学科4年)
大学での授業、そして園芸療法の実習を通して実践的に学んできて感じたことは、一人ひとりの対象者の方は、それぞれに似た課題があったとしても、関わり方は様々であるということです。人と向き合い寄り添っていくことの重要さは、園芸療法だけではなく、すべてのことにも同じことが言えるのではないかと思います。園芸を活用することで相手の方が課題を乗り越えられるよう今までの経験を今後もいかしていきたいと思います。園芸療法を実践的に学んだことにより、身近にいる人たちが抱えている課題にも向き合えるようになったと感じています。
園芸療法士として資格を取ることができたのは、多くの方々からの支えがあったからこそです。実習に関わってくださった方々皆様への深い感謝を忘れず、今後私自身が園芸療法士として働く病院での仕事では、自分のできる限りの支援をしていきたいと思っています。
小山菜摘さん(社会園芸学科4年)
私は社会園芸学科に入学し、心理を学ぶか園芸を学ぶか迷っていました。どちらの授業も履修していく中で、園芸療法の授業に出会いました。私が考えていた園芸療法とは少し違いましたが、これなら心理も園芸も学べると思い実習も始めました。園芸の知識があまりなく、いつも仲間や利用者の方に教えてもらっていました。利用者の方々は私に生き生きと、育て方や食べ方を教えてくださり、植物や作業を通して様々な方とコミュニケーションがとれるようになりました。色々なところに実習に行かせていただき、高齢者の方や障害のある方と関わっていくなかで、対象者によりプログラムのたて方や、アプローチの仕方が異なり大変でしたが、利用者の方と楽しく活動をすることで多くのことを学びました。園芸療法を始めた頃に比べ、全体を見て行動できるようにはなりましたが、まだまだ利用者の方の変化を見抜けないことが多いので、周りを見て臨機応変に対応できる人になりたいと思います。
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