先輩学生から新入生へのメッセージ~新入生フェロシップ報告の続き~
2019年04月22日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
先週のこのブログでは、4月2日に行われた新入生フェロシップの様子についてご報告いたしました。その中で、学生委員長の漆畑智靖先生から、「私たちが誇る、とても素敵な先輩学生たちから、恵泉ファミリーはどんな仲間なのか学んでください」という紹介で、各学科の先輩が新入生に向けてメッセージを送ったことを書きましたが、今日はその時の全文をここにご紹介いたします。
長いブログになりますが、4人それぞれが心をこめたメッセージです。お読みいただければ幸いです。
森島美玖(日本語日本文化学科3年)
日本語日本文化学科では、日本語を中心とする日本の文化を学ぶことを基本としています。日本の文化の学びというと、古典や漢文を挙げる方は多いと思いますが、日本語の成り立ちや現代の流行語の発生についてなど、日本語について様々な角度から学ぶことができるのがこの学科の特徴です。
私は入学当初に将来の夢がなく、この学科で取れる資格として、日本語教員教育課程 があることを知り、関連のある授業を受けるようになりました。日本語教員とは日本語を外国人の方に教える職業のことで、東京オリンピックが近づく今、需要が高まっている職種だと思います。その教育課程の学びの中で、生まれてからずっと慣れ親しんできた日本語について無知な自分を痛感しました。また、私は1年生の春休みに2週間の短期留学で上海に行っていたのですが、そのような留学制度を使って外国での生活をすることで、改めて日本語という言語を見つめ直すきっかけができ、日本語を学びたいと思うようになりました。
それに加えて、恵泉にはサマープログラ厶という夏休み期間だけの留学受け入れ制度があり、そこで留学生と触れ合ったことによって、日本語を教えることの難しさに気づくと同時に日本語を教えることの楽しさを知ることができ、日本語教員という仕事に魅力を感じることができました。
また、私は人前にたつことが苦手で発表などもすごく嫌だったのですが、学校内での活動としてキャンパスアテンダント、通称CAの仕事もしています。そこでは、学校内での雑務や、オープンキャンパスの手伝いなどを主な仕事としており、高校生や親御さんの前で話をすることにより少しずつですが、人前で話すことに抵抗を感じなくなりました。
恵泉はなにかを頑張ろうとする人への手厚いサポートがあるのはもちろんのこと、やりたいことがない人へのアプローチもたくさんしてくれるので、熱心に打ち込める何かをみつけられる場所だと思います。みなさんの過ごす4年間が充実したものになるよう願っています。
酒井和香奈(英語コミュニケーション学科4年)
私が大学に入り、自分が一番変わったと思うことは心の強さです。これを踏まえて今から恵泉を通して得た少人数学習の環境の良さと留学経験について少しお話させていただきます。
初めは学習環境の良さです。学科ごとに違いはありますが、英語コミュニケーション学科の授業は特に、他の学科に比べてプレゼンテーションやスピーチが多いと思います。もちろんグループワークも積極的に行われます。そのため、一人あたり、発言する機会が増え、次第に自分の意見が言えるようなっていきます。また恵泉全体の特徴として先生との距離が近く私たちに行き届いた指導をしてくださるので、楽しい反面、時には厳しいフィードバックもあります。ですが私はそんな時、友達に相談したり、上手に話す人をみて研究したりしながら客観的に自分を見つめ直すように心がけました。そうすることで自分の苦手なことや強みがわかり、何を言われても打たれ強くなったのです。このような環境は英語を学ぶ上で最適でした。
さらに私はKEES*や児童英語の授業にも取り組んでいたことから、人前にでて相手に何かを伝えたり教えたりすることに抵抗感がなくなり、自分を自由に表現できるようにもなりました。
次に留学です。私にとって初海外となったのがフィリピンです。大学に入学したら留学すると決めていた当時の気持ちは「英語を身に付けたい」が4割、「海外に行きたい」が6割の比率でした。「異国の地」「初めての海外」という気持ちの方が強かっただけに、初めは現地の英語理解についていけない自分の情けなさや、完璧な英語を言おうとするがゆえに言葉がでないという悔しさに何度も心が折れそうになりました。しかし慣れていくうちに、実際は先生の話の中で分かる単語を拾いながら聞いているほうがずっと耳に入ってきやすかったり、完璧な英語でなくても自分の言いたい単語をとりあえず声に出してみたりするほうがずっと理解してもらえるという事に気づかされたのです。
ここから私が伝えたい教訓は、「他言語は文法知識にとらわれず、とにかくその場のノリと勢いに身を任せてみることで初めて身につく」という事です。この中にはもうすでに英語が堪能な方、まだ話せない方、留学を経験した方や、現在考えている方もいると思います。でもまだ「興味がない」、「行きたいけど英語話せるか不安」と思っている方の中で留学前の私の気持ちに少しでも共感していただけたらぜひチャレンジしてほしいと思います。そして「行きたいけどお金がかかるのでは」と思っている方にはぜひフィリピン語学研修をお勧めします。
皆さんは恵泉に入学するにあたり、いろいろ想いを経験されて今日ここにいることと思います。実を言うと、私は恵泉が第一志望の大学ではありませんでした。ましてや女子大に入学することすら考えてもいませんでした。ですが、今では穏やかな大学の雰囲気と勉強したかった英語教育のカリキュラムが充実している現在の学科に入学することができたことを嬉しく思っています。私は入学当初、このように人前で話すことも英語で会話することにも自信が持てない人間でした。でも、心配しないでください。皆さんは必ず何か一つの面で無意識のうちに成長していくことがあるはずです。
私は現在ジェルマン先生のゼミに所属し、大好きなファッション領域に関わりながら雑誌や広告について勉強しています。最近はマーケティングと人の行動心理、脳科学にも興味を持ち始めているので、卒論ではいろいろな専門分野の先生方の力をお借りしながら、取り組んでいけたらと思っています。 私は英語から、教育、広告、心理へと幅広い視野を広げてきましたが、学科の枠を超えて自由に学べる環境、自分の好きなことができるのは小規模なこの大学だからこそ叶うことだと思います。
過ぎてしまえばあっという間の4年間です。皆さんにはこれから出会う友達や先生、先輩、そして与えられている時間を大切にして欲しいと思います。遊びと勉強を全力で楽しみながら学生生活を一緒に謳歌していきましょう。
内田真里絵(国際社会学科4年)
国際社会学科では、国際関係コースと地域研究コースがあり、一定の地域に限らずアジアからヨーロッパまで広い国際社会と、多様なテーマについて学ぶことができます。
私は、ヨーロッパの移民問題、アメリカの政治、韓国、北朝鮮の政治と日本との関係に関する授業などを受講しました。なぜこれらを受講したかというと、今も続いていますが、中東の戦争でヨーロッパへの移民や難民問題がタイムリーでありました。また、アメリカでトランプ政権に変わり、その行方に世界的な関心がありました。また、韓国については、もともと入学前からK-POPやドラマが好きであり、韓国人の友達も身近にいたので、地域研究としても興味がありました。しかし、街でヘイトデモに遭遇したこともあり、そのギャップを感じたので、勉強してみたかったです。実際、これらの授業が留学や語学研修の時に役立ちました。
私は3年生のとき、アイルランドに半年間協定留学をしていました。その際に、クラスで移民やイスラム教徒について討論したり、トルコ人の留学生が、イスラム国についてどう思う?とか、トルコって大丈夫なの?と聞かれる悩みについて聞いたり、実際に英語を勉強しながら、政治的問題、人種差別問題などを肌で感じました。留学や語学研修へ行く前に語学の勉強だけでなく、時事問題や歴史問題を勉強するのは重要だと思います。
皆さんは恵泉の教育プログラムとして、フィールドスタディー、いわゆるFSをよく聞いていると思います。国際社会学科では、多様な短期と長期FSプログラムがあり、学科関係なく、誰でも参加できます。FSは、教室での理論勉強や語学留学とはまた違って、現地をよく知っている引率の先生の案内で、政治、経済、社会、文化などを深く勉強できます。何より、現地の人々と交流し、討論したりする経験は、今まで本で読んだ知識とは違う、リアルな現地の人々の視点を学ぶことができます。
私は今年2月に、東アジアフォールスタディに参加し、韓国のサムソン・SKなどの大手企業やソウル市庁、NGO団体などを訪問しました。現地の韓国の大学生と約10日間、一緒に企業を訪問したり、共同調査を行ったりしました。企業訪問では、韓国大学生の深い問題意識や激しい就職熱意も感じたりもしました。10日間の間、日米韓の関係、東アジアの情勢、最近の日韓における歴史問題に関して、正直な話し合いもしたりしました。今まで恵泉で授業を履修し、海外留学をしてきた経験がFSで多く活かされたなと感じました。
今回の韓国FSで感じたことですが、ほとんどの企業は、AIやビッグデーターの時代の仕事のあり方、経営の変化に注目しておりました。しかし、20年以上、サムソン電子で半導体の仕事をしていた現職の課長は、もしまた大学生になるなら、「社会学」「人文学」を勉強し直したいと言っておりました。技術よりも、社会のあり方を考える多様な人文知識のほうが重要だと言われました。
恵泉の国際社会学科ではほかの大学では学べない「多様で広い世界」について深く体験で学べることができる学科だと思います。4年生になった今は、これまでの学びを活かして卒業論文に取り組み、私だけの問題意識と論理を作ってみたいです。就職活動も、FSなどを通じて、どういう分野で仕事がしたいのか、自分がやりたい分野が見えてきたので、絞って焦らず挑戦する予定です。
新入生の皆さま、まずは、自分で興味がある分野は、自信もってとことん追求してみてください。一人でなく、ゼミの先生や、職員、先輩などが相談にのってくれたり、話を聞いてくれます。留学や語学研修、FS、履修登録など、何か聞きたいことがあれば気軽に聞いてください。何より、1年生のときはあっという間に過ぎてしまうので、楽しく過ごしてください。
篠原わかな(社会園芸学科4年)
今日は、これから始まる皆さんの大学生活のヒントになればと思い、私のこれまでの大学生活で経験したこと、感じたことをお話します。私は新しく始まる大学生活にはワクワクしていましたが、課外活動には積極的になれないかも、などと考えていました。ですが、今は恵泉で本当に良かったと感じています。なぜなら、たくさんの経験ができたからです。
どんな経験をしてきたかというと、皆さんにも必修授業となっている生活園芸での野菜作り、それから課外活動で参加した花壇の管理といった園芸の活動があります。その他にも、授業の一環で海外に2回行きましたし、ノートテイクという恵泉に在学する聴覚障がいの学生の授業サポートもしています。サークルにも入りました。これらの活動をしようと思ったきっかけは面白そう、やってみたいと思ったからでした。大学は、高校と違って自由だと思います。自由だからこそ、自分が興味を持ったことには行動しないと、何も始まりません。明日、サークルの紹介や課外活動の紹介があると思います。そこで、面白そうとか興味を持ったことは、積極的に参加してください。きっかけは何でもよいです。無理をしない程度に、行動してもらえたらと思います。もしかしたら、1年生は必修科目が多くて、課外活動とかできない!となるかもしれません。その場合は諦めるのではなく、それができるチャンスがくるまで待つとよいと思います。大学生活は1度しかありません。自分が後悔しないようにしてください。
私が大学生活で感じていることは、世界が広がるということです。小学校・中学校・高校と進学していくと、様々な地域から通う学生がいて友達の輪が広がっていきます。ですが大学になると、東京都内だけではなく千葉、神奈川、埼玉から来ている人もいます。さらに関東圏だけではなく、秋田、福岡、沖縄など全国に広がります。そんな友人からいろんな話を聞いていると、今まで当たり前と思っていたことがそれぞれの地域で違っていたり、私は東京都民ですが改めて東京の魅力やどう見られているかを知ったりと、とても面白く新鮮です。また、私は海外に行ったことで、さらに自分の中の世界は広がりました。
こうした視野の広がりやさまざまな活動をすることができたのは、心理学や園芸、地域を中心に学ぶ社会園芸学科だからこそだと感じています。私が今お話したことは、1つの例であって絶対にこうなる、ということではありません。私の友人は友人で、別の体験をしています。その話を聞いていると、彼女だからこそできる体験だなと感じます。大学生活というのは十人十色です。私の大学生活はほとんど染め上がってきていますが、皆さんは始まったばかりで真っ白の状態です。ぜひ、いろんな色に染め上げてください。昨日、入学式を終えたばかりで、これからどんな生活が始めるか、ドキドキしている人もいれば、不安しかないという人もいると思います。ですが、最後にはこの大学でよかったと思ってもらえれば嬉しいです。