私の考える「生涯就業力」~5 大学で活躍する卒業生たち(1)

2019年10月21日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

次第に秋の気配が濃くなってまいりました。
キャンパスでは来月11月3日(日)の恵泉祭の準備に学生も教職員も忙しくしております。
今年の恵泉祭では、卒業生を迎えて在学生と共に女性としての生き方を語りあうシンポジウム(卒業生シンポ「卒業生にみる『女性のキャリアと生涯就業力』」)も予定されております。詳しくは追ってご紹介いたしますが、それに先立って多摩キャンパスで事務職員として活躍している卒業生(大学・短大)たちにこのブログに登壇してもらいました。

教務課・庶務課・学生課・キャリアセンター・入試広報室・キリスト教センター・園芸教育室・研究機構事務室等々の事務部門は、学生たちの学びと学生生活に寄り添い、教員の教育研究活動を支えてくれる大学の心臓部です。かつて学生として恵泉で学んだ人々と共に働ける喜びと感謝の思いをこめて、本ブログで2回にわけて紹介させていただきます。(なお現在、事務局次長の野間田せつ子さん(大学Ⅰ期生)は私の考える「生涯就業力」~1~で登壇しています)。

長尾恵子(庶務課・学長室)

恵泉女学園中学・高等学校、短期大学英文学科で8年間恵泉生活を過ごしてきました。その後、ご縁があって恵泉女学園大学にてメディアセンター、キャリアセンター、学生課、教務課、庶務課、学長室とお仕事をさせていただいております。

私の考える「生涯就業力」
研修で他大学の方と名刺交換をすると名刺に記載してある「生涯就業力を磨く」の文字を見て、「生涯就業力」ってなんですか?と聞かれます。
「自分の人生の役割(子、妻、母として)の生き方や人生の転機に出会ったり、思い通りにいかない時、大きな悩みの中にあっても、周りに流されず、妥協せず、自分と真摯に向き合い、考え、冷静に決断、覚悟を決めることのできる力」ですとお答えします。するとある同年代の女性の方は「大学でそんな力が付くのですか?私も学びたいです」とお話しくださいました。
学生の皆さんの近い将来、必ずや必要となる力「生涯就業力」を身に付けていただくために、私は職員として何ができるのか、どのようにお手伝いができるのかな?とよく考えます。それには私自身も日々の職務の中で、私の「生涯就業力」を磨いて、日々人として、成長し、変化、挑戦していくことが大事なのではないかなと実感しています。
「生涯就業力」――未来が明るく拓かれると感じるこの言葉に勇気をもらいながら、日々仕事をしています。

斉藤みさと(キリスト教センター)

札幌で高校生活を過ごし、日々の暮らしから自然の厳しさや美しさを感じ、動植物に興味を持ちました。今年の4月から園芸療法を学び始め、学生からもさまざまなことを教わっています。

私の考える「生涯就業力」
新緑が美しい季節のハーブガーデンの片隅では、二ゲラという花がこぼれ種から芽吹いて葉を伸ばし、花を咲かせて風に揺らめく姿がありました。大小、高低さまざまな二ゲラの小さな茂は、昆虫にとってはさながら低木、高木のように感じると思います。
恵泉では自然や社会、歴史、文化とのつながりについて学ぶことができ、関係性(つながり)の回復・再構築が小さなことでも必要であると実感しました。関係性を見失ったことに気が付き、足らなさについて自分で言葉を当てはめられることで回復に向かっていく...これは「生涯就業力」の一部分につながると思います。
こぼれ種から花を咲かせた二ゲラはとても小さいですが、手持ちの力を精一杯使い、見る人の気持ちを和ませ、小さな喜びや励ましを届けています。関係性を回復するとき、ニゲラのように手持ちの力で相手を喜ばせることができたという積み重ねが、歩みを支えてくれていると思います。

小林直子(学生課)

新卒で外資系の企業に就職し、マネージメント業務や人事業務を長年行ってきました。今までの経験を活かし、企業で働く前の学生達のいる環境で働いてみたいと思い、1年前から恵泉で学生達のサポート業務を行っています。

私の考える「生涯就業力」
「生涯就業力」とは自分の人生を自分で切り開く力だと思います。学びたいことと、チャレンジしてみようという気持ちから他大への編入学をした時。外資系企業に就職し、結婚し仕事を続けるかを迷っている最中、仕事が楽しくなり終電に駆け込みながらも挑戦し続けることを決めた時。子供が生まれ、時短を使うことに迷いながらも、限られた時間の中で最大限のパフォーマンスをして働こうと決めた時。そして子育てが少し落ち着き、子供との時間を大切にしつつ今までの経験を活かしながら新しい環境にチャレンジしてみたいと転職した時。人生に無駄な経験などないと言われますが、様々な経験をした今になって、その意味が分かるようになりました。どんな環境でもそこから得られるものは学ぶこと、自分の環境の変化に合わせて自分が今どうしたいのか、自分にとってその時何が一番大切かを考え、自分の進むべき道は自ら切り開かないと始まりません。挑戦せずに後悔するのならまずは挑戦してみること。これが私にとっての「生涯就業力」です。

菊地牧恵(園芸教育室)

恵泉女学園高等学校・園芸短期大学で、毎日礼拝のある学校生活を5年間過ごしました。大学でも礼拝での学生・教職員の感話に、心動かされています。教育農場では担当教員と学生と共に、生活園芸の授業等で野菜や花を育てています。

私の考える「生涯就業力」
恵泉では、互いに支え合う場や場面が多くあります。クリスマス礼拝や花の日礼拝で賛美している教職員有志の聖歌隊は、多様な個性を持つ教職員がチャペルで練習を重ね、心を一つにしていきます。その過程は、私にとって心洗われる場でもあります。それぞれが持つ力を出し合って取り組む中で、互いに「あなたが必要だ」「あなたがいてくれることに感謝」「あなたと共に活動できてよかった」と尊敬しあう、そのような経験は、自分を肯定し自分らしく生きる力を培うと思います。
「生涯就業力」のひとつに、自分を大切にし、他者に尽くす力も挙げられると思います。他者に尽くすためには、自分を肯定することが必要で、その肯定感は他者との関わりの中で得られると思っています。人間関係で傷つけられたり傷つけたりすることもあり、しんどいことも多いですが、それでも他者との関わりの中で、支え合い、尽くし合い、仕え合いながら生きている、と私は感じています。

以上です。「大学で活躍する卒業生たち」(2)は来週、掲載予定です。