多摩キャンパスに多摩市の子どもたちが参集!!
2020年02月10日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
秋学期の期末定期試験や卒論口述試験が終わり、学生たちの姿がまばらとなった1月31日、代わって子どもたちの元気な姿と声に多摩キャンパスが包まれました。
SDGsをテーマに、「住み続けられるまちづくり」のために、多摩市内の小中学校の生徒たちが、積み重ねてきた学習成果を発信し、共有することを趣旨とした『令和元年度「多摩市子どもみらい会議」』の会場に本学をお使いいただいたのです。
この会には、多摩市の教育委員も務めている本学の岩佐玲子先生(教育学)と教職の学生たちも参加し、会場設営や受付、子どもたちの誘導などにボランティアとして関わりました。
当日の模様について岩佐先生からいただいた寄稿をお届けいたします。
1月31日金曜日。午前10時。2年生から4年生までの教職課程学生18名が、スーツ姿で学食に集まりました。襟にはSDGsバッジをつけ、髪を束ねて名札をかけた学生達は、緊張した面持ちで並んでいます。多摩市教育委員会指導主事の池田先生をはじめとする職員の皆様が到着して自己紹介をした時には緊張がピークに達したようでしたが、その後全員で食堂の椅子やテーブルを移動し始めると、互いに声を掛け合いながら笑顔を浮かべてテキパキと楽しそうに動き、会場設営が終わった頃には、緊張も解けて会場は温かな雰囲気に満ちていました。教職課程運営委員の喜田先生と水上先生が学生と共に働いてくださっていたことも大きな安心感につながったと感じます。立場や経験、年齢、性別を越えて、それぞれが持てる力を発揮して一つの目標に向かって協働すること、まさにワンチームとなって行動することが、心の清々しさや場の温かさを創り、一人ひとりが輝くのだと感じさせられた一コマでした。
昼食休憩を済ませ、いよいよ来場者を迎える時間が迫ってきました。校門やバス停からの誘導班は、寒風吹きすさぶ中での立ち通しの仕事ですが、この役割に率先して手を挙げた学生の一人、2年生のSさんは、終了後の振り返り文にこう書いています。
「いらした方をお迎えするということで、こころをこめて挨拶をすることを意識しました」
また、受付担当の2年生Yさんは、「自分が役割を与えられた中でどれだけ丁寧に接することができるかを考えながら動けたのは、良かったと思います」と記しています。
このような学生の姿勢から、何を行うか以上にそれをどういう想いや意味をもって行うかが、周囲の人を幸せにするのだと思わされます。何事にも愛をもって行おうとする学生達のまごころが通じたのでしょうか。来場者のアンケートの中には、「恵泉の学生さんが明るい笑顔で暖かく親切に接してくださったことが、とても良かった」と書かれていたと指導主事の池田先生が教えてくださいました。ありがたい一言です。
さらに、来賓の方を席に案内する役割を担った3年生のKさんは、今日のボランティアを通して感じた驚きや学びについて次のように振り返っています。
『住み続けられる町づくり』をテーマに、SDGsに基づいてこんなに早くから取り組んでいる多摩市は先進的な町なのだと改めて実感しました。また、受付の仕事や誘導の仕事をする中で、社会人としての礼儀の大切さも改めて感じ、今日の経験の一つ一つをこれからの学びにつなげていきたいと思いました」
第五回多摩市子どもみらい会議には、多摩市内の小学校3校(諏訪小学校、永山小学校、愛和小学校)と、中学校2校(和田中学校、青陵中学校)から、各校6名ずつ、合計30名の子どもたちが発表者として参加しています。校長先生や引率の先生方、保護者や地域の方々を含めると、来場者数は150名をゆうに越えるもので、そのような大勢の大人を前にして堂々と司会進行を務めたのは中学生の女子生徒でした。阿部市長や清水教育長のご挨拶の後に取り組みを発表した児童生徒の凜とした姿には、どの学生も感嘆していました。児童生徒によるグループ会議はもちろん、提言するメッセージの検討・発表なども限られた時間の中ですべて児童生徒が主体となって行っていました。意見を出し合い、異なる考えにも耳を傾け尊重し合い、民主的な手法でそれらを集約し、最終的には一つの提言にまとめるというのがこの会議の目指すものでした。
今回の会議でつむぎ出されたメッセージは「地域と自然とのかかわりを大切に、それを行動にうつすことで多摩市を住み続けられるまちにしよう」というものです。ここに至るまでのプロセスに立ち会えたことは、大人一人ひとりに大きな勇気と希望を与えてくれました。
最後に、3年生のYさんの決意をご紹介して、今私たち大人がなすべきことの本質を共有したいと思います。
「未来を明るく生きるのも、暗くするのも、今の私たちの行動によって決まるのだ、と力強いプレゼンテーションを聞いて思った。そして多摩を愛することは、結果として自分の未来へ、そして未来の子どもたちへのプレゼントだと知ることができて、今まで地元のことをあまり好きになれなかったはずが、生まれた街が愛しく感じられた。今なにができるか?を常に問い続けることを忘れずに、日々未来のために、地球のために行動したい」
すっかり暗くなったキャンパス。5時45分発のバスに向かって駆け出した学生達の後ろ姿は輝きに包まれていました。