先生方からのメッセージ~私のおすすめ その1~

2020年05月04日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

5月を迎えました。新緑に包まれて一年のうちでも最も美しい多摩キャンパスに、学生の皆さまの姿がないことがつらく、残念でなりません。新型コロナウィスル感染拡大が一日も早く収束することを願っております。

今日は先生方から皆さまへのメッセージです。直接、お会いできない学生の皆さまのことを思いながら、先生方の「私のおすすめの〇〇」シリーズ~その1~です。
続きシリーズ~その2~は来週、5月11日にお届けいたします。
外出自粛が続いております。本や映画、音楽に親しみ、そして、リラックス法などを試しながら、どうか、今を乗り越えてください。来週からオンライン授業が始まります。楽しみにしていらしてください。
*ここに登場している先生方については、こちらをご覧ください。

私のおすすめの本

桃井和馬(国際関係・ジャーナリズム)
『チェルノブイリの祈り~未来の物語~』スベトラーナ・アレクシエービッチ著 岩波書店

「なにをお話すればいいのかわかりません。死について、それとも愛について?」で始まる本書は、1986年に巨大爆発事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所に関係する人々のインタビュー集です。冒頭のこの言葉は、消火活動のため事故直後の原発に入った消防士の妻(23才)が口にした言葉でした。「死」、または「愛」。消防士であった夫は、膨大な量の放射線を浴びたことで、自身が高い放射線を発する「放射能」となり、接見禁止に。医師に内緒で夫に会い続けた女性の胎内に宿る新しい命。事故直後、元気そうにしていた夫は、新しい細胞が作られないことで内部から壊死が始まり、14日後に息を引き取ったのです。突然訪れた理不尽な夫の死に対し、嗚咽に耐えるようにして語られた女性の言葉を通じ、読者は次第にこれが深い愛の物語であることに気づくのです。2015年にノーベル文学書を受賞した著者による書。
世界は今、新型コロナウイルスという未曾有の事態に直面しています。感染の危険から、愛する人の最期に立ち会えない「死」も伝えられています。しかしすべての人には語るに相応しいそれぞれの物語がある。世界が危機に直面した今だからこそ、もう一度読み直したい一冊です。

丸橋亮子(保育学)*
ヨシタケシンスケ『ぼくのニセモノをつくるには』ブロンズ新社

主人公はある男の子。やりたくないことを代わりにやってもらおうと、お手伝いロボットを手に入れます。ロボットがニセモノだとばれないためには自分のことを教えなければなりません。自分らしさを一生懸命言葉にしながら、いろいろな自分に気づいていきます。はたして男の子の「ニセモノさくせん」は成功するのでしょうか・・。
ユーモラスな絵と子どもらしくかわいらしい発想で展開されていきますが、自分に落とし込みながら読むとテーマの深さにドキリとさせられます。ほほえましく読みながら、自然体で自分を捉えられる男の子の在り方が魅力的に思えたり、私は自分を「気にいっている」と思えるだろうか・・と考えさせられたり。自宅で過ごす時間が多い今だからこそ、絵本の世界観にほっこりしながら、そして少し大切に自分の内側に目を向けてみませんか。(*学年担任 今年着任された先生です)

谷口 稔(日本思想)
三浦綾子『細川ガラシャ夫人』上下 新潮文庫

細川ガラシャは、明智光秀の三女で、名は玉子。ガラシャ(神の恩寵の意)は洗礼名で、細川家に嫁ぎました。今年の大河ドラマは光秀の生涯を扱っていますが、本能寺の変の後、玉子は一時期、幽閉生活を余儀なくされます。その後、キリスト教の信仰にめざめ、真の人間らしい生き方を求めて、最期は熾烈な悲劇の生涯を遂げます。歴史があまり得意でない人も、著者のリアルな状況描写に引き込まれ、一気に読んでしまう本だと思います。

私のおすすめの映画

岩佐玲子(教育学)*
『いまを生きる』(Dead Poets Society)ピーター・ウィアー監督 アメリカ映画 1989

「自分らしく自由に生きたい」と考えたことがある方は、ぜひこの映画を観てください。舞台は、1959年アメリカバーモント州の名門男子校。生徒達は、親や教師が敷いたレールに乗って学生生活をただやり過ごそうとしています。そこに卒業生でもあるキーティング先生(ロビン・ウィリアムズ)が着任し、風変わりな英語の授業を始めます。教科書のページを破いてゴミ箱に捨てさせ、自分の頭で考えることの意味を語ったり、靴をはいたまま机の上に立たせて、物事を常に違った側面から見つめることの大切さを説いたりします。先生が「カーペディエーム」、ラテン語で「今を生きよ」という言葉を教えると、生徒達は次第に自分らしい生き方を模索しはじめます。ドラマチックな展開と言葉の力に惹きつけられる、不朽の名作です。(*学年担任の先生です)

青木良和(経営学)
『METライブビューイング』

『METライブビューイング』は、世界三大歌劇場の一つ、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の最新シーズン・オペラを、数週間後で字幕つきで日本でも楽しめる映画で、10台以上のカメラを駆使したダイナミックなライブ撮影で、オペラの魅力を余すところなく伝えてくれる。私がオペラを初めて見たのも、このニューヨークにあるメトロポリタン歌劇場で、玄関ロビーにはシャガールの巨大な壁画があった。曲目はプッティーニの『トスカ』だった。
10年間、見続けてきた『METライブビューイング』だが、印象に残っているライブが二つある。一つは、2010年から2012年にかけて4回にわたり上演されたワーグナーの『ニーベルンゲンの指輪』で、舞台装置も迫力があったが、バスのブリン・ターフェル、ソプラノのデボラ・ボイドの歌唱力も圧巻で、ジェイムズ・レヴァインの指揮が素晴しかった。もう一つは、エリザベス女王時代を描いたドニゼッティの三部作『アンナ・ボレーナ』『マリア・ストゥアルダ』『ロベルト・デヴェリュー』で、アンナ・ネトレブコ、ディドナート、ガランチャ、ラドヴォノフスキーといった世界的なプリマドンナの素晴しい歌唱力と演技を見ることができた。
今年も『METライブビューイング』を楽しみにしていたが、ターフェル主演のワーグナー『さまよえるオランダ人』とネトレブコの『トスカ』、ダムラウの『マリア・ストゥアルダ』がコロナ問題で中断してしまっているのがとても残念です。

篠田真理子(環境論)
『マンマ・ミーアMamma Mia!』 『ヘアスプレイHairspray』『エリンブロコビッチErin Brockovich』『ドリームHidden Figures』

スカッと気分爽快になれる、女性が活躍する映画をお勧めします。ミュージカル映画は一緒に歌ったり踊ったりできるので元気が出ます!『マンマ・ミーアMamma Mia!』『ヘアスプレイHairspray』などは音楽もストーリーも楽しい映画です。
史実からヒントを得た映画も勇気が湧いてきます。『エリンブロコビッチErin Brockovich』は何もかもうまく行かず、お金にも困ったシングルマザーが、大企業の公害問題を告発し、高額の賠償金を勝ち取るストーリー。『ドリームHidden Figures』は、アメリカのNASAで宇宙開発に貢献した黒人女性たちの物語。「私になんかできない」ではなく「私にだってできる」と思わせてくれる映画です。

私のおすすめの音楽

岩村太郎(哲学とキリスト教専攻)副学長

キリスト教信仰を固く持ち、哲学的思考を目指し、ジャズを愛する。この年になりもう一切の迷いがなくなりました。中学三年で渋谷の道玄坂ヤマハで渡辺貞夫のサックスを目の前で聞いて以来、一瞬のうちに決まりました「アルトサックスを練習して、ジャズやりたい」五十年たった今も、少年の心にいささかのブレもありません。高校生になりジャズ研に入部しました、初めて組んだバンドが鈴木顕子カルテットで私がアルトサックス、しかしピアノのアッコさんに怒られ続け自信喪失しました、「タロー、お前は才能ない、リズム感が悪い!」あっという間に首になりました。アッコさんとは、後の矢野顕子さんです。この時以来私は趣味で頑張る道を選びました。おすすめCDは渡辺貞夫全部、ビル・エバンスの『ワルツ フォー デビー』、チック・コリア『ナウ ヒー シングス ナウ ヒー ソブス』、スタン・ゲッツ『ゲッツ オ ゴーゴー』。

菊地牧恵(生活園芸)
「森のシンガーソングライター証(あかし)」の『パイオニアソング』

「きみならやれるさ」と語りかける歌声に私は励まされます。
多摩市に住み地元で活躍していた証さんは、2015年夏、第3回福島キッズリフレッシュ&エコキャンプ@恵泉に参加した子どもたちのために、恵泉女学園大学のメインガーデンで、夕涼みコンサートをしてくださいました。子どもたちと大勢のボランティアスタッフと、芝生の上に寝転んで聞いた音楽は忘れがたいものです。
気持ちのよいキャンパスのガーデンや教育農場で、学生の皆さんとお会いできる日を楽しみにしています!(*今年、着任された先生です)

おすすめのリラックス法

水上晃実(教育学)*

皆さん、お元気でお過ごしですか。私のおすすめのリラックス方法は「香り」です。アロマが好きで、集中したいとき、心を休めたいとき、元気を出したいとき、殺菌したいとき...その時々でアロマを選んでいます。
殺菌と書きましたが、アロマにはニキビを治したり、ウイルスを除去したりする効果もあるそうですよ。研究室でもアロマを焚いているので、ちょっと癒されたいときには遠慮なくいらしてください。アロマ以外にも私たちの生活には沢山の「香り」が存在しています。皆さんも、ふとした瞬間に香りで安らぐことはありませんか?コーヒーをいれたときにふわっと立ちのぼる香り、お洗濯したてのタオルの香り、そして、私たちの大学には樹々の爽やかな香りや花々の優しい香りも溢れていますね。不安なニュースや外出自粛で心が疲れてしまいそうな日々ですが、皆さんも「香り」でリラックスしてみませんか?(*学年担任の先生です)

KEN FUJIOKA(言語学・神学)
Jogging in the park

There is a nice park nearby and it is spacious enough so that I can jog for a while. The park cannot be seen from the outside because it is nestled inside the woods with walking (or jogging) paths throughout. I particularly like that there are many vista points with benches situated so people can view the outskirts of Sagamihara and parts of Machida city. You don't have to be a seasoned jogger to participate because most people like me, enjoy jogging at a leisurely pace. Oftentimes there are people who jog and chat at the same time. In addition, every morning there are small groups of citizens, who practice "taikyokuken" in one area, while in another open area a group practices radio exercise. Perhaps you can find a location where you can enjoy jogging too.