近刊予告です 『女性の一生』
2020年07月13日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
拙著近刊のご案内です。
私がライフワークとしてきた女性の生き方を「生涯就業力」の観点から改めて見つめ直してまとめました。書名は『女性の一生』(日本評論社)です。
この本に向けた私の思いを綴った「はじめに」と本の帯の言葉をお届けいたします。お読みいただければ大変嬉しく存じます。
はじめに
この本を若い女性たちに向けて書かせていただきます。娘をもつ母親たちにも読んでいただけたら幸いです。また、女子教育やさまざまな場で女性の生活支援に携わっている人々と共に女性の生き方を考えることができたらと思って、筆をとっております。
今、女性たちはとても良い時に、女性として生まれ、生きようとしています。親も教員も、 そして、地域の社会教育等の関係者にとっても、良い時に娘を授かり、また女子教育に携わり、その支援の一翼を担える時を迎えています。
なぜでしょうか? 女性活躍の時代を迎えているからでしょうか?
答えは、イエス・アンド・ノーです。ここ数年、国をあげて女性活躍促進がうたわれています。"202030運動"(2003年6月に内閣府・男女共同参画推進本部が決定した「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的位置に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標」)をはじめとして、女性の地位向上に努めた先人たちの働きが実りつつあることを嬉しく思います。
でも、本当に女性活躍の時代を迎えているかというと、けっしてそうではありません。むしろ、女性活躍とは真逆の現象があちこちに見られます。ただ、女性活躍の言葉が時代のキーワードとなったからこそ、そうした現実をあらわにすることができるのではないかとも思います。そうであればこそ、私は"真の女性活躍の時代"を到来させるチャンスだと訴えたいのです。女性活躍が話題となっているからこそ、課題が明確となったのであり、乗り越えるべき壁を示されたのだと考えたいと思います。言葉を換えれば女性活躍が道半ばであるからこそ、"真の女性活躍"に向けて改めて考え、一歩踏み出すときを与えられているのではないでしょうか。
本書は、私たち日本女性が、今、そして、これからをどう生きたらよいのか、足元の課題の一つひとつをしっかり見つめながら、これからの時代を生きる女性としてのあり方をご一緒に考えることができれば幸いです。
<本の帯から>
時流に抗し 先んずる気概を持って 生涯就業力を身につけ、磨き続けること
時流に抗し、先んずる気概を持って開拓者となることは、たやすいことではありません。
でも、困難な仕事を与えられることは幸せなことです。困難を乗り越える勇気、何よりもたった一人ではなく、周囲の人々と力を合わせる心と術を大切し、生涯にわたって自分らしく生き、周囲の人を輝かせる光の源となる力を磨き続けること、それが今、女性活躍時代に真に必要な力としての〝生涯就業力〟だと私は信じています。