恵泉蓼科Guide Bookが出版されました
2020年08月17日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
本日は「恵泉蓼科ガーデンのガイドブック」刊行のお知らせです。
蓼科ガーデンは、1985年に長野県茅野市に恵泉園芸センターの研修施設として開設され、自然と人間生活の融和をテーマとして、命あるもの本来の美しさを尊重し、人の心を育てる園芸を実施している施設です。現在は恵泉女学園中高の生徒や大学の学生たちが園芸体験や精神修養に重きを置いた研修に利用しています。"人間と同じく命あるものの存在を五感でキャッチし、それらが伸びやかに生きている姿から、気づきや安らぎ、時にはエネルギーを与えられていることを実感している"施設です(ガイドブック参照・引用)。
ガイドブックを作成した小澤文子・恵泉蓼科ガーデン長に、恵泉蓼科ガーデンに携わっている思いと共にガイドブックの紹介をしてもらいました。
「恵泉らしく頼むよ。」22年前、蓼科ガーデンの管理を任される時に、当時、恵泉園芸センターの所長をされていた森山さんに言われた、一言でした。
恵泉に学び、その後数年、恵泉で働いたことがあった私は、森山さんが言おうとしていることが、なんとなくわかる気でいました。しかし、あまりにも抽象的な言葉に、いつも自問自答しながら作業をしていました。
はじめはたった一人で始まった庭作業、省力化なしでは到底管理しきれないものがありました。行きついたところは、「自然の力に大部分を委ねる」でした。ローメンテナンスでもよく育つ植物選びには、その地に自生している植物を野山から学び、水や肥料は与えすぎず、聞こえない植物の声に耳を傾け、人の手は植物が求めるくらいの手助け程度。その地の気候風土を読み取り、日々観察。
結果的には、人が手を加えすぎるよりも、植物は伸びやかに成長し、人には作りえない自然美があふれた庭になっていました。たとえ華やかさや鮮やかさはなくても、私たちに元気を与え、安らぎや落ち着き、癒しなど、見る人それぞれの感性に寄り添ったものがあると、庭の植物から教わったのです。
一般的な園芸学や農学は、人の価値観、嗜好に合わせて植物を変えていく事が重要視されています。例えば自然界にはなかった色合いの花を生み出したり、良質な農産物を大量生産できるように品種改良を進めるなどです。しかし、恵泉で学ぶ園芸には、植物を変えるのではなく、ありのままの植物を通して、感じ、考え、学び、そこから人が変えられるものがあります。
「名もしれぬ花に目をやり、命を育てることで人の心を育てる。」河井道が恵泉女学園の創設理念の一つに「園芸」を加えた真髄を身をもって感じた時、森山さんが一卒業生の私に伝えたかった、「恵泉らしさ」というものが理解できたように思えました。
そんな、恵泉らしいガーデンをご紹介したガイドブックです。ただ、写真ではお伝えしきれないので、どうぞ、ガーデンに足を踏み入れ、身体全体で体感していただきたいと思っています。今年はコロナ禍の影響で公開日も延期されておりますが、機会を見て、皆様のご来園を心よりお待ちしています。
小澤文子
一日も早くコロナ禍が収束し、皆様が蓼科を訪れてくださる日が来ることを祈っております。
小澤さんがスマホで撮影して送ってくれた写真です。
なお、ガイドブックご希望の方には、次の方法で頒布いたします。
- 1冊 800円
- 大学事務所 庶務課窓口にて直接
- 郵送ご希望の場合
申し込み先 tateshina-garden@keisen.ac.jp
送料 ゆうメール180円
レターパック 370円(7冊まで入ります)
振込先 八十二銀行 茅野支店 普通 881805
学校法人 恵泉女学園