2020年度入学式を執り行いました

2020年09月07日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

先週の9月3日、2020年度の入学生を迎える式を執り行いました。
コロナ禍の収束が見えない中ではありましたが、式の開催時間と形式はもとより、新入生と保証人の方々をお迎えする方法等、感染予防対策に最大限の注意を払い、準備に準備を重ねて当日を迎えました。
新入生には春学期のオンライン授業等ですでに会ってはいましたが、実際に対面であえた喜びはひとしおでした。

当日の模様を写真でご報告いたします。あわせて学長式辞もお読みいただければ幸いです。

2020/9/3 入学式 式辞 「勇気ある女性におなりなさい」

学長 大日向雅美

新入生の皆様、そして、ご家族・保証人の皆様、こうしてお目にかかれましたこと、本当に嬉しく存じます。教職員一同、今日の日をどれほど心待ちにしていたか、言葉に表せない思いでございます。

この春先から突如襲った新型コロナウィルスの世界的感染拡大は、未曾有の事態とはかほどのことかと言うほどに、私たちの生活を一変させました。
行動自粛を余儀なくされて、若い皆様はどんなに不自由な、あるいは理不尽な思いをされたことでしょう。ご家族・保証人の皆様におかれましても、大きな不安とさまざまな葛藤の中で過ごしていらしたことと存じます。

一日も早く安定した日々が戻ることを願いますが、新型コロナウィルスの収束はなかなか見えません。むしろ、これからはコロナと共に生きることを前提に、予測不能な変化が起こり続けるニューノーマル時代を生きる姿勢と覚悟が求められている昨今でございます。

そうして改めてここ数か月を振り返りますと、新型コロナウィルスの恐ろしさは、感染ルートや治療法が見えにくいことは無論ですが、それだけではありません。見えないウィルスと戦う恐怖が人間不信を呼び、混乱の中で露出する利己的な言動はウィルス以上の毒をもっていることを思い知らされました。
これまでポジティブに語られてきたグローバル化も、一転してウィルス拡大の源のように扱われ、国境を閉ざし、自国中心主義に走る動きが随所で見られました。

こうしたときだからこそ、いたずらに不安に流されず、状況を的確に見極め、冷静な判断に基づいて行動する「勇気」が必要です。
一つひとつの行動が自分自身を、そして、他の方を尊重する心に裏付けられているのか、常に振り返り続ける「勇気」を持つことが大事なのではないかと思います。

また、経済戦略優先で進められてきたグローバル化はウィルスの破壊力の前にこれほどまでに脆弱であったかも思い知らされました。
そうであればこそ、人間愛とコミュニケーション力をもって、国境を越えて叡知を出しあい、互いに支えあう「真のグローバル化」をめざす「勇気」が求められていると考えます。
こうした「勇気」は、換言すれば人間の知性と品性です。

今こそ、女性はいかなる社会の変化やリスクに直面しようとも、自分を見失うことなく、他の方を大切にし、地域や社会に貢献する真の「勇気」をもって、しなやかに凛として生きる力を磨くべきです。
本学はその力を「生涯就業力」とし、教育理念の核としております。

「生涯就業力」は、皆様が今、そして、これからを女性として真に活躍する力となることを確信して、私が学長に就任した2016年から恵泉ブランドとして打ち出し、カリキュラムをはじめとして学修支援のすみずみに浸透させてまいりましたが、そのルーツは今から90年前、世界平和の構築に貢献する自立した女性の育成を志した恵泉女学園創立者の河井道先生の女子教育にかけた願いと祈りにあります。
「勇気ある女性におなりなさい」と絶えず女子生徒たちを励まし続けられた河井先生のお心を、女性活躍時代に女子大学が果たすべき教育の使命として確かに継承発展させた「生涯就業力」ですが、その真価はニューノーマル時代を迎えた今、まさに緊急性をもって、かつ鮮やかに問われるときを迎えていることを思います。

新入生の皆様は、オンラインではありましたが、春学期の授業を通して、本学での学びを開始され、「生涯就業力」の一端に触れておられます。
まもなく始まる秋学期も、コロナの感染状況から、講義科目の多くがオンライン形式を継続せざるを得ませんが、ゼミや実習等は対面での方式を復活させます。
依然としてさまざまに予測不能な制約も生じることとは存じますが、そうした中でも可能な限り皆様の大学生活が実り多いものとなるよう、教職員一同、全力をあげて支援をさせていただきます。

恵泉女学園大学は女性の一生を丁寧に見守る小規模な女子大学としての最大限の特性を生かした教育を行っております。この春に発表された「世界インパクト大学ランキング」では「教育の質保証」と「女性のエンパワーメント」の2つのSDGsで、いずれも日本の大学の中で第1位の評価をいただきました。
新入生の皆さまは、本学の学生となられたことにどうか胸をはってください。
「生涯就業力」を身につけて、新たな時代にふさわしい女性リーダーとして国際的に羽ばたいていただく、今日の日をその記念の日として、「勇気」をもって一歩を踏み出してください。

ご家族・保証人の皆様には、お嬢様を本学に託してくださいましたことに心からのお礼を申し上げます。新型コロナウィルス感染予防上のやむを得ない処置とはいえ、本日のご列席に制限を設けさせていただきましたことをお詫び申し上げます。例年に比べて形も進行も変え、時間も大幅に短縮した式ではございますが、皆さまと共に、今日の日の喜びを分かち合わせていただきたいとの教職員の願いは例年と変わることなく、心をこめて式を執り行わせていただいております。
これまでお嬢様を慈しみ育んでいらした皆さまのお気持ちをしっかり受け止め、大切にお預かりいたしますことをここにお約束いたします。

 

最後に、新入生の皆様、そして、ご家族・保証人の皆様に心からのお慶びを申しあげて、私のご挨拶とさせていただきます。改めて、ご入学、おめでとうございました。

入学式
大日向学長式辞
ハンドベル祝奏
学年担任ご紹介
保証人の皆さまへご挨拶