アドヴェントの時を迎えて

2020年12月07日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

12月に入り、多摩キャンパスはアドヴェントの時を迎えております。
先月の末、11月25日にクリスマスツリー点火式を終えたキャンパスのもみの木は、夕刻になると美しくライトアップされています。

今年の点火式は新型コロナ感染のさらなる拡大下にあって、オンラインで行われました。
大学始まって以来、初めての試みですが、チャペルで関本恵美子先生が奏でるパイプオルガンの響きの中、聖歌隊の賛美と宇野緑先生のメッセージと祈りに続いて、もみの木が点火されて・・・。胸打たれる美しい時が刻まれました。

賛美歌 讃美歌21 242番 「主を待ち望むアドヴェント」
聖書朗読 旧約聖書 イザヤ書 61章1節
聖歌隊による賛美 「ひいらぎかざろう~もみの木」(編曲 渡辺玲子)

この模様は学内用のYouTube 配信のため、残念ながら学外の方にご覧いただくことが叶いませんが、宇野緑先生に許可をいただいて、メッセージをお届けさせていただきます。

今年もアドヴェントの時期を迎えようとしていますが、1年前、誰もこのような社会状況になることは予想をしていなかったでしょう。例年であれば、多くの方が集い、キャンパスにあるもみの木を囲んでクリスマスツリー点火式を行っていましたが、それが今年はかないません。しかし、どのような状況であっても、時は流れ、季節がめぐります。このような時だからこそ、一人でも多くの方にこの時を知ってほしいと願い、今年はオンライン配信で行うことに致しました。2020年のクリスマスはいつもとは異なった思いで過ごすことになりますが、それゆえに大切なメッセージを受け止める準備をアドヴェント期間で育んでいきたいと思います。

この1年を振り返り、今年は誰もがコロナウィルスにまつわることを抜きには語れないでしょう。そして、未だにゴール地点が見えない状況が続いており、未来を思い描くことが難しい日々でもあります。いつまで人との距離を保ちながらの生活が続くのでしょうか。それは誰もわかりません。

様々な工夫が試され、オンラインを駆使し、何とかして出会いを重ねているのも現状ですし、と同時に、遠慮なくどこへでも出かけ、誰とでもハグができる生活の大切さも実感しています。

今、この時。私たちは見出すことができるのかと試されています。よりよく生きるために、よりよく共に生きるために、何ができるか、何をなすべきなのか、と。

聖書の時代、律法にがんじがらめになっていた心、辛く、悲しみに包まれた心を「解放する救い主があなたたちのもとに与えられますよ」という神さまからの約束を人々は信じ、待ち望んでいました。何日後、いえ何年後かさえわからない。それでも、祈って、待ったのです。時に、そんな約束は嘘だ!信じられるか!と反抗した人々もいたことでしょう。それでも、その時、その時、直面する壁を乗り越えようと祈りを合わせた先人たちが導き続けたのです。

そして、人々の希望の光として、救い主の誕生が告げられたのです。それは、強くてかっこいいヒーローではなく、「イエス」と名づけられた赤ちゃんの誕生でした。これらは2000年も前のお話しであるけれども、繰り返し、繰り返し語られ続ける中で、今を生きる多くの人々に慰めや励ましを与える物語なのです。誕生物語からのメッセージは12月23日のクリスマス賛美礼拝で分かち合いたいと思います。

私たちはこれまでの暮らしの中で、効率の良さやスピード重視の社会に慣れていたのでしょう。スピーディーな結果を出せない今、それを体験することで、これまでこの速さに苦しんでいた人々の存在を知ることにもなりました。多くの人々が悲しみや痛みを負う今、社会の片隅に追いやられている人々に目を向ける優しさに繋がった人もいることでしょう。反対に格差をさらに深めている現状にも目をつぶることはできません。

これからが大切なときなのです。クリスマスを迎えるにあたり、今、この時こそ、イエスの歩みから伝えられる様々なメッセージに耳、心を傾けてみませんか。弱さや痛みを隠すことなく、それぞれの違いを受け入れあい、生かし合おうとするとき、神の愛はその集いのただ中に注がれるのではないでしょうか。多くの排除や切り捨てが当然のように行われているこの社会の在り方を今一度、見つめ直し、今だからこそ、私たちのあるべき姿を求めていけるよう祈りを合わせていきたいと思います。

宇野緑 (キリスト教教育主任)

今、私たちはコロナに明け、コロナに暮れるこの一年の厳しさに耐えながらもなお、先の見えない不安にさいなまれています。
"このようなときだからこそ、私たちは試されています。今こそ、より良く生きるために、より良く共に生きるために、私たちは何ができるのか、何をなすべきか、考えましょう"という宇野先生のメッセージを胸に、皆さまと共に豊かなアドヴェントの時を紡いでいきたいと願っております。

なお、これから日を追うごとにキャンパスはクリスマスの飾りに彩られていきます。
来週、その様子をお届けしたいと思います。どうぞ楽しみにしていらしてください。