コロナ禍の学生を思う職員たちのメッセージ
2020年12月21日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
今年も残り少なくなりました。コロナ禍という未曾有の事態への対応に世界中が揺れたこの一年でしたが、大学もおそらく開学以来と言ってよいほどの激動に見舞われました。
春学期は授業のオンライン化に、また秋学期は対面授業とオンライン授業とのハイブリッド化と感染予防対策等に、教職員一丸となってあたりました。お陰様で何とかつつがなく執り行えたという安堵感を持ちつつも、こうした異例ともいうべき生活を余儀なくされている学生たちのことが案じられてなりませんでした。
そうした折、先日、ある会合で経済界の方が発せられた言葉に、衝撃を覚えました。
「今年の大学1年・2年生を将来、採用したときのことに懸念を覚える」というのです。
なぜなら、「大学に入学してからの1,2年間は、人として大きく成長するとき。学びの仕方も人間関係も、大学で経験することは、それまでの中学高校時代とは大きく異なる。この時の経験こそが企業に入ってから、自身の関心を広く深く追求しながら、他の人と共に目標に向かって何かを達成する原動力に他ならない。一人でオンライン授業を受け、クラブ活動もアルバイトも制限された中で、この1~2年を過ごしている彼らが心配だ」と。
コロナ禍で若い人たちが何を奪われているのかを改めて考えさせられると共に、社会から大学に期待されているものの大きいことに背筋が伸びる思いでした。
本学では、FDSDとは別に、昨年から事務局長の指揮のもと、職員の方々が幹部クラスと若手クラスに分かれて、毎月勉強会を開催しています。私もそこに招かれて陪席させてもらっているのですが、この経済界の方からうかがった話を先日の若手勉強会で問いかけてみました。
~~コロナ禍にある学生たちについて、特に経済界から卒業後の社会人生活・コミュニケーション能力が心配されているようです。学生たちのために今、私たちは何ができるか・何をしたらよいでしょうか~~~~。
1週間を置かずに全員からすばらしいレポートが届きました。
本コーナーはブログですので、あまり字数が多いと読みづらいことと思います。レポートの詳細をお伝えできないことが残念ですが、紙背から学生たちを思い、案じ、職員として何ができるかを真剣に考えてくれている様子が伝わって、胸打たれる思いでした。
ごく一部ですが、以下にご紹介いたします。
それぞれに表現は異にしていましたが、学生たちがもっと語りあい、声を出せる場をどのようにしてこのキャンパスの中に創り出すか、それができるのが小規模な女子大で、面倒見の良さで高い評価をいただいている本学がすべきことだという熱い思いが綴られていました。
また、学生たちに今まで以上に考えさせる機会を持たせる必要性についての提案もいくつもありました。
コロナウイルスの影響を受け、他者と直接会い、会話する機会が減ってしまっている現状ではありますが、考えるという力はどのような状況でも培うことが出来ます。(中略)経済界の方々が学生に対してどういう思いを抱え心配されているのかということを、ありのまま当人の学生に伝え、その心配を払拭するために自分は今何ができるのかということを、学生自身に考えてもらうことも良いのではないかと思いました。
日ごとに寒さとあわただしさの増す年の瀬ですが、学生たち一人ひとりを思う職員の温かな眼差しと熱い思いに触れることができました。繰り返しになりますが、ここにすべてを詳細にお伝えすることは叶いませんが、職員は学生たちのために何かしたいと考え、いくつもの具体的な方途をいろいろと提案してくれていました。レポートに綴られていることは一つでも多く、学生たちのためにぜひとも具体化していきたいと考えております。
この一年、このブログをお読みくださいました皆さまに心から御礼を申し上げますと共に、来年が皆さまにとって良い一年であることを、心から祈っております。
今年の「学長の部屋」は本日で最後とさせていただきます。来年、またここでお会いできますことを楽しみにしております。どうぞ良いお年をお迎えください。
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