"子育て支援員研修"が多摩キャンパスで始まりました
2021年02月15日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
この度、多摩市「子育て支援員」研修がNPO法人との共催でスタートしました。
「子育て支援員」とは、すべての子どもにより良い発達環境を保障し、親の子育てを社会の皆で支えることを目標とした『子ども・子育て支援新制度』の発足と同時に、厚生労働省認定資格として制定されたものです。
この「子育て支援員」制度は、私が代表理事を務めているNPO法人あい・ぽーとステーションが2005年から実施してきた「子育て・家族支援者」養成講座がモデルとなったものです。
老若男女共同参画で地域の育児力向上をめざして、地域の方々が保育や子育て支援について学びを深め、一時保育をはじめとした地域のさまざまな子育て支援に携われる仕組みとなることを目的とした講座です。東京都港区や千代田区、愛知県の高浜市等、これまで5つの自治体で開催し、すでに1900名あまりの支援者さんが誕生し、各地ですばらしい活躍をしています。そうした実績が認められて、2015年に厚生労働省認定資格となったものです。
本学の学生もこれまで港区や千代田区で受講してきましたが、授業を受けながらの受講は時間的にも距離的にもなかなかハードルが高いことは否めませんでした。
できれば大学近くで開催できたらとの思いがありました。
一方、多摩市保育協議会の先生方から、ぜひ恵泉の学生さんに保育園で活動してほしいというオファーもいただくようになりました。
本学には保育士養成課程はありませんが、「子育て支援員」から保育士資格取得への道が開けます。むしろ、今、保育園や認定こども園で求められているものは、子どもの保育にとどまらず、広い意味での子育て・家族支援です。家族のあり方や親の就労等、実に多様化しています。「聖書」「国際」「園芸」の学びを基本とした本学の幅広い教養教育を土台とし、そこに保育や子どもの発達、地域支援等について学ぶことで、さらに活動の視点も理解も広く、深くなることと思います。
また、多摩市はシニア世代をはじめとして、子育てや仕事が一段落した世代の方々がたくさん居住する地域です。そうした方々が豊かな経験を基に、親子のために活動をしてくだされば、地域の育児力向上に貢献するだけでなく、市民の方々にとっても新たな生きがいを見出していただけることは、これまで各地の実践からも明らかです。
こうした趣旨を多摩市の方々にもご理解いただいて、2年余りの準備期間を経て、2月10日に開講式を迎えました。
「あい・ぽーと」の講座は、保育や発達心理、社会福祉、地域支援等、第一線の研究者や実践家が登壇する非常に質の高い講座として評価をいただいています。昨年から急遽、見舞われた新型コロナウィルス感染下でも、これまでの実績を生かして、いち早く講座の大半をオンデマンド化し、単元ごとにZOOMで質疑応答の機会を設ける等、これまでの対面形式とは異なる新たな講座形式を整えました。これも昨年、1年かけて港区と千代田区で行ってきた実績がありますので、多摩市の方々、そして、学生の皆さんにも安心して実り多い学びをしていただけることと思います。
当日は多摩市の子ども青少年部の方々が多数、ご参画くださり、青少年部長、そして多摩市保育協議会会長には開講式の冒頭にご挨拶をいただきました。さらに多摩市公立保育園担当課長から、一時預かり保育と地域型保育の実習に備えて、貴重なご講義もいただきました。本学からもたくさんの学生が参加しましたが、帰路には、"とても充実して楽しかったです。認定資格取得に向けて頑張ります"と口々に感想を伝えてくれました。
「あい・ぽーと」からスタッフもかけつけ準備にあたりましたが、密をさけ、感染予防対策等で大学の皆さまには大変なお力添えをいただきました。感謝と共に、無事にスタートが切れたことをここにご報告いたします。